タレントマネジメント概論---人と組織を活性化させる人材マネジメント施策

著者 :
  • ダイヤモンド社 (2015年1月23日発売)
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労働生産性を上げるための施策として挙げている、
タレントマネジメント。
そもそも難易度の高い取り組み(手間がかかる)だが、
実現すると人材配置の最適化だけでなく、
個人のキャリア形成の活性化を実現することが出来る。

組織として取り組むのは勿論のこと、個人としても取り組むべき内容。
最近転職活動している割には、
自分が何が出来る・何が得意といったことをアピール出来ない人が多いが、
それは自己棚卸が出来ていないことの象徴で、
=将来組織として仕事をしていくときにやりづらい人とも判断出来る。
それは、自己棚卸が出来ていない=組織で働くときに、
チーム編成されづらい=一緒に仕事しづらいに繋がるため。
若干大げさ感はあるが、あながち間違ってはいない。

あくまで個人的な感想ではあるが、
色んな経験が分かることは大切なことだが、
それよりもどんなことに興味があるのか?
どんな性格の人なのか?が分かることのほうが
タレントマネジメントとしては大切なのかなと感じた。

【勉強になった内容】
・2011年から翌2012年にかけてタレントマネジメントに
 用いるシステムのパッケージライセンスは19.9%伸びている。
 これはパッケージが伸びただけであり、浸透したわけではない。
 システムを導入するだけで実現する仕組みではないから。

・日本でタレントマネジメントが必要な理由
 ①人口構造が変化し、労働人口が減少
 ②サービス産業の隆盛
 ③情報産業・IT化の急伸
 ④グローバル競争
 ⑤ダイバーシティ、ワークライフバランス、
  トータルリワードが浸透
 →"量"から"質"が問われるようになってきた

・2036年には第2次ベビーブーム世代が定年を迎え、
 1人の高齢者を2人以下で支える時代が待っている。
 2060年には1人に対して1.3人で支えるとの試算も出ている。
 定年を70歳に引上げても、1.7人で支えなければならない。

・タレントマネジメントの目的
 短期:
  組織ニーズに対する人的資産の最適化
  人的資産から新しい事業機会や解決策を生み出す
 中長期:
  人的資産の育成、新たなタレントの創出

・ビジネスで必要とされる能力
 ①資質・適性
 ②価値観・考え方
 ③行動特性
 ④スキル
  ヒューマンスキル、テクニカルスキル、コンセプチュアルスキル
 ⑤知識・経験
 職務経歴で分かるのは、経験とスキルの一部くらいで、
 後はそれ以外のところ(例えばコミュニケーション)から
 しか分からない。
 ここを見える化することは極めて価値が高い。
 とはいえ、経験、スキルでさえ横断的に把握する術が無い。
 これらが可視化されれば、どこで活躍出来そうな人なのかを
 横断的に共有することが可能となり、人材交流の活性化が期待出来る。

・タレントを開発する際のポイント
 ①アウトプットの場を設ける
 ②失敗を許容する

・タレントマネジメント実現のためには、
 設計・開発を担う人と活用・運用を担う人を分けるべき。
 これはプログラムとプロジェクトマネージャーの役割分担に
 近いところとも言える。

・タレントマネジメント推進のためには、
 各部署がそもそも何をやっているのかを知る必要がある。
 それにより、各部署で必要なタレントが定義出来、
 必要な人材が定義出来る。

・優秀な管理職ほど、優秀な部下を外に排出している。

・文書や資料が可視化されたところで使い道が少ない。
 それよりも人材そのもののタレントを可視化すべき。
 特にサービスや企画等マニュアル化しづらい部門では、
 誰が何を出来るかを知ることのほうが重要。

・組織活性化=個人(スキル×マインド)×環境(仕組み×取り組み)
 個人について見えているのはスキル部分でマインド部分は
 ほとんど見えていない。
 ※スキル:経験や知識
  マインド:意欲や意思、行動特性
 どちらも向上させる必要があるが、源泉となるのはマインド。
 このマインドが見えるようになることが組織活性化に繋がる。
 合わせて環境整備も大切。チャレンジする機会を作り上げることで、
 経験値が上がり、新しいアイデアやサービスを生み出しやすくなる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス書(経営戦略)
感想投稿日 : 2015年3月2日
読了日 : 2015年3月2日
本棚登録日 : 2015年3月2日

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