本書は「女性よりも男性のほうが差別されている」と主張しているものではなく、それぞれの性に対してそれぞれ違った差別と抑圧の構造が存在すること、そして「女性」に対して過度にそれが重視されてきたことを問題視し、「男性」についても同様に見るべきだ、というのが趣旨と言える。そして性別以外の社会的要因などにも目を向け、真の意味でのジェンダー解放のために何が必要かと言うことを述べている点では有益だろう(本書はどちらかと言えばジェンダーフリーを志向していると言える)。
ただ気になったのは、第一に数値の比較(特に犯罪)が余りにも性別という要因に偏りすぎていて他の要因をコントロールしたのかという疑問を持たざるを得ないデータが多いこと、さらに(マッキノンなどの一部の過激なフェミニストへの反駁を主目的としたからであろうか)若干煽り気味な記述が少なくないように感じたことである。特に犯罪については我が国の現状と明らかにかけ離れており、我が国への単純な適用は難しいかもしれない。
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- 感想投稿日 : 2014年6月5日
- 読了日 : 2014年6月5日
- 本棚登録日 : 2014年6月5日
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