近代史、冷戦時代。
時代に、運命に翻弄された人と「イヌ」の物語。
世界のパワーバランスが変わる複雑怪奇な時代を、軍用犬にスポットを当てて総ざらいに洗い直した意欲作。
イヌへの語り掛けを多用したハードボイルドな文体は、どこか後ろ暗いこの時代を描くのにとても合っていると思う。
調査・構想も綿密で、大きな史実と絡めてリアリティたっぷりに描かれるため、もはやどこまでがフィクションなのか分からない。
構成・ロジックの完成度は相当に高いと思われる。
が、しかし。
読後感としては、「で?」というのが率直なところ。
何が言いたかったのか分からない。
支離滅裂で陳腐な歌詞のロックンロールみたいだ。
具体的には少女・ストレイカの存在と扱いがストンと来なかったことが大きいのかな。
邪推するなら「狙いすぎ」か。
荒廃した雰囲気。あくまでもハードボイルド。どこまでも硬派。なんとなく知的。
そんな空気が味わえれば充分というなら傑作と呼べるかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年1月18日
- 読了日 : 2014年1月18日
- 本棚登録日 : 2013年12月13日
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