池上彰の宗教がわかれば世界が見える (文春新書)

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本棚登録 : 2583
レビュー : 329
著者 :
Chocolatteさん 社会・経済・宗教   読み終わった 

本書は「宗教は『よく死ぬ』ための予習」であると締め括っている。「良く死ぬ」ためには「よりよく生きる」ことが必要であり、自分の死を受け入れるためには、死後の世界も考えなければならないだろう。日本の主な宗教には、神道と仏教があるが「よりよく生きる」という点では神道が、死後の世界を考えるという点では、仏教が中心的な役割を担ってきた印象を持つ。日本は神道と仏教のふたつが、いわゆる「日本宗教」を形作ってきたということだろうか。
しかし、よく考えたい。仏教は、もともとお釈迦様が「生・老・病・死の苦しみから、何とか衆生を救わねばならない」と考えたのが原点のはず。とすれば、今の伝統仏教はその原点を忘れてはいないだろうか。僧侶たちは、病に苦しんでいる人たち、生きる勇気を失った人たち、悲しみに包まれた人たちにどれほど向き合っているだろうか。「葬式仏教」と揶揄されたり、観光産業化したりする一方で、仏教界はどれほど本来の役割を果たそうとしているのだろうか。人生の答えを求めようとする人たちを、神道や仏教関係者は快く受け入れてくれるのだろうか。
あるアンケートで「何か宗教を信じていますか」という問いに、7割の人が「無宗教」と答えたという。しかし一方で、島田氏は「これだけ宗教が自然に根付いている国は、かえって珍しい」、養老氏は「(日本人の)無宗教の『無』は仏教の『無』」だという。池上氏がいうように、少なくとも「日本人は、日本人なりの宗教観、あるいは超自然的なものに対する畏れのような宗教意識をしっかりと持っている」ことは事実だと思う。「私は無宗教です」というと、キリスト教やイスラムの世界でどのような誤解を受けるのか。グローバル社会の中で、宗教について無関心でいることはできない。
養老氏によれば「最近は、宗教以外の原理主義が出てきている」という。「唯一客観的な現実」「絶対の正義」をマスコミなどから信じてしまい、自分で判断する面倒を避けているからだ。危険な兆候であると思う。
タイトルは「宗教が分かれば世界が見える」だが、日本の問題点も見えてくる。7人の宗教関係者等との対談形式が章立ての中心。特に、仏教関係者2人のインタビューはよかった。最後に、仏教界に訴えたい。「本来の社会活動」にもう少し熱を入れませんか?

レビュー投稿日
2017年4月29日
読了日
2013年11月23日
本棚登録日
2017年4月29日
2
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