世界を変えた10冊の本 (文春文庫)

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著者 :
Chocolatteさん 社会・経済・宗教   読み終わった 

1.『アンネの日記』 アンネ・フランク
イスラエルを支持するような政治目的で利用されている面が否めない。一方で、イスラエル政府によって分離壁で包囲されているパレスチナに住む人たちの中にも、苦しく不安な毎日を送っている少女がいるかも知れないことを忘れてはならない。
2.『聖書』
(旧約)聖書は主にヘブライ語で書かれたユダヤ教徒・キリスト教徒の聖典(紀元前5~4世紀頃)。新約聖書はギリシャ語(当時はヘレニズムの世界。ローマ帝国の多くの地域においてはラテン語よりもギリシャ語が lingua franca)で書かれたキリスト教独自の聖典。なお『42行聖書』はラテン語訳。
旧約聖書の「レビ記」には食べ物の規定がある。
×食べてはいけない:らくだ、猪、豚、エビ、カニ、タコ、ひれ・鱗がない魚類
○食べてもよい:牛、羊、ヤギ、ひれ・鱗がある魚類
キリスト教では、神による救いは律法を守る事ではなく信仰によるものであるとしたため、上記規定(律法)を禁止した。しかし、日本の商業捕鯨に反対する人(キリスト教徒も)は、上記規定の教えが根強く残っているのかも知れない。
3.『コーラン』 
「汝に戦いを挑むものがあれば、アッラーの道において堂々とこれを迎え撃つがよい。だが、こちらから不義をし掛けてはならぬぞ。アッラーは不義なす者などをお好きにならぬ」。イスラーム原理主義過激派がテロ行為を、欧米文化と戦う「ジハード」と位置づけるのは独善的すぎると思っていたが、それは『コーラン』ではなく、『道しるべ』の影響と納得。
4.『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 マックス・ウェーバー
経済危機が深刻なのは、非プロテスタントの国々(カトリック、ギリシャ正教会)が多い。人間(男性)が働かなければならないのは、「原罪」を犯した結果であり、「苦役」としての性格を持つという思想が受け継がれているから。一方プロテスタントの国は、「Calling(天職)」は、神から与えられた使命であり、労働に対する意欲があることが、その人間が救済を約束されている証になるという。資本主義は、プロテスタントの倫理によって生まれたという。ところで、日本人の勤労意欲はどこから来るのか?武士道か?ムラ社会か?
5.『資本論』 カール・マルクス
資本主義が抱える矛盾は、やがて労働者の抵抗を引き起こし、革命に発展するという。しかし、その後の経済はどうやって発展するのか。資本主義に代わる社会主義・共産主義とはいかなるものか。ロシアや中国などの例を見ても、結局資本主義に戻っているのだが。
6.イスラーム原理主義の『道しるべ』 サイイド・クトゥプ
「イスラームが全人類を導く役割を果たすためには、イスラーム共同体が原型の形で蘇えなければならない」。イスラム以外の社会はジャーヒリーヤ(無明社会)であり聖戦(ジハード)の対象となるという。人々の英知によって運営される民主主義を尊重せず、自分たちの解釈だけが正しいと考える人たち。どんな思想の世界にも存在する過激派特有の傾向だ。
7.『沈黙の春』 レイチェル・カーソン
消費者よりも生産者が重視される結果、現実になるかもしれない「沈黙の春」。経済活動優先の現在、レイチェル・カーソンの警告はますます重要になっている。
8.『種の起源』 チャールズ・ダーウィン
ガラパゴス諸島での生物がインスピレーションになって「進化論」は生まれた。かつて、キリスト教社会の根底を揺るがす論争となったが、1996年に当時のローマ法王ヨハネ・パウロ2世は事実上進化論を認めた。しかし現在でも「反進化論」はアメリカで根強く残っているそうである。「この世に生き残る生き物は、(略)変化に対応できる生き物だ」。
9.『雇用、利子および貨幣の一般理論』 ジョン・ケインズ
景気が悪くなったら、政府が公共事業などで支出を増やして経済を活性化させる。金利を下げて、企業の投資を活性化させる。フランクリン・ルーズベルト大統領によるニューディール政策の強力な後ろ盾に。しかし、インフレ傾向が続き、恒常的な財政赤字に悩まされるという副作用がある。
10.『資本主義と自由』 ミルトン・フリードマン
「政府の仕事は、個人の自由を国外の敵や同国民による侵害から守ることに限るべきだ」。自由市場は思想の自由を保障し差別は減っていく、という。1980年代以降の「新自由主義」に大きな影響を与えている強者の論理である。

レビュー投稿日
2018年11月29日
読了日
2018年11月29日
本棚登録日
2018年11月23日
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