読むだけですっきりわかる日本史 (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社 (2008年6月3日発売)
3.66
  • (189)
  • (366)
  • (377)
  • (47)
  • (20)
本棚登録 : 4549
感想 : 340
3

高校受験を控えた中学生向けを意識した内容のようだが、社会人も十分楽しめる。というより、ほとんどの社会人は日本の歴史に疎い。名称と年号ばかり記憶しただけの無味乾燥とした教科書に辟易とした人も少なくない。日本史を教える教師のスキルも概して低かった。そういった残念な記憶を、「そうだったのか」と新鮮な記憶に変えてくれる。「日本史の授業はつまらなかった」という社会人にこそ、読む値打ちがあると思う。

高校時代に全く理解ができていなかった流れを少し纏めてみた。
〇(室町時代)座(西洋のギルドのようなもの)➜商品価格の高騰➡(織田信長)楽市楽座➜享保の改革において商業の統制を図るために組織化した方が望ましいとし、株仲間(株式を所有することで構成員と認める)を公認、冥加金(上納金)を納める代わりに、販売権の独占などの特権を認めた➜(田沼時代)株仲間の奨励➜(天保の改革)株仲間の解散
〇摂関政治以降の藤原氏:藤原氏と姻戚関係を持たない上皇による院政が始まり、さらに源平両氏の武家政権に移行するにつれ藤原氏の権勢は後退。しかし、江戸時代末期に至るまで摂政・関白(豊臣秀吉を除き)は藤原北家の系統に限られた。また、その系統である五摂家以外からの摂政は例がないほど、政治には関っていた。
〇板垣退助は、実は好戦派(過激派)だ。
1867年薩土密約(武力討幕)➜征韓論(韓国を即時武力制圧)➜1873年「明治6年の政変」➜藩閥政治を非難し1874年「民撰議員設立建白書」(自由民権運動)➜1875年「愛国社」結成・1875年(挑発による)江華島事件➜1876年「日朝修好条規」締結(李氏朝鮮開国)➜板垣ほくそ笑む➜1880年「愛国社」は「国会期成同盟」に発展➜1881年「国会開設の詔」(10年後に国会を開く約束)➜「自由党」(フランス流の急進的政党))[大隈重信らは穏健なイギリス風の立憲改進党]➜1882年「福島事件」や1884年「秩父事件」など民権激化事件を起こし解党。

歴史の流れを理解するためには、解釈が必要。だからこのような通史本も、著者によって異なる内容となるので、読み比べてみるのも歴史の面白さかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2019年10月26日
読了日 : 2019年10月22日
本棚登録日 : 2019年10月22日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする