未亡人の一年 上巻 (新潮文庫 ア 12-8)

  • 新潮社 (2005年8月1日発売)
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本棚登録 : 237
感想 : 18
4

<不倫相手との母親の情事を見てしまった娘。
 その後、母親は娘を置いて家をでることとなり、
 娘は母親を知らずに成長し小説家となる。―
 そして母親の不倫相手だった青年も小説家となっていて・・・。>

著:ジョン・アーヴィング

久々のアーヴィング。

「長ければ長いほどよい」と考えるアーヴィングの物語は相変わらず、悲劇と滑稽さが溢れているけれど、そこには暖かさがある。

今作は「思い出」というものに重点がおかれているような構成。

死んだ息子達の「思い出」にしがみついている母親マリアン、
家を出て行った母親を待ちわびる娘ルース、
若かりしころ逢瀬を重ねたマリアンを忘れることができないエディ。

それぞれがそれぞれに思い出を抱き、悲劇と滑稽さに満ち溢れたアーヴィングの物語世界を歩んでいきます。

そして最後の本当に最後。
このためだけに今までの物語が創られたとでも言うべき最後の一文。
これぞ長編小説、これぞ物語を読む幸福!!


しかし指紋についた傷を見るためにケチャップで紙ナプキンに捺印し、水の入ったコップで拡大するシーン。
なんてロマンチック!!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年3月5日
読了日 : 2011年6月29日
本棚登録日 : 2012年3月5日

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