戦略プロフェッショナル―シェア逆転の企業変革ドラマ (日経ビジネス人文庫)

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レビュー : 363
著者 :
kereruさん 経営戦略   読み終わった 

著者の実体験がベースとなった物語(ケース)を通して「戦略思考」「プロダクト・ライフサイクル」「セグメンテーション」を学ぶことができる良書。成長戦略のポイントは「絞り」と「集中」。腐った組織が蘇っていく躍動感は何度読み返しても熱くなる。オススメ。

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【読書メモ】

●企業内にあまり強力で専門的な「企業参謀」グループを置くのは考えものだということだ。むしろ、参謀になれる人材をラインにつけ、また逆にラインの責任者には参謀の「智」が身につくようなポジションをある期間与える、といった考え方の方が大切だと思われる。

●その気になって見れば、情報は目の前にたくさんあるのさ。それに意味をつけて、社内に発信してくれる奴がいるかどうかだ。

●広川は初めから、社員の目を社外の「競争」に向けさせ、彼ら自身がいい仕事をしているかどうかを自ら考え、自ら判定させるというやり方をとりたかった。たとえその結論が彼らにとって悪い内容であっても、それを社内の誰のせいかと責めることはしない。この先どうすれば良くなるかを、なぜ、なぜ、なぜと考えさせていくと、皆にはそれが他人事ではなくなってくるのである。

●成長戦略のポイントは、「絞り」と「集中」。

●成長企業は組織がいつもアンバランスである。開発面とか、生産技術とか、会社の中のどこか優れた「突出」部分をもっており、それに牽引される形で、他の部門が遅れて、あくせくしながらついていく。時とともにこの牽引役を果たす部門が交替していき、会社全体としてはいつもどこかがスターになったり、問題部門になったりする。トップの役割は、こうした活性状態を続けるために、社内のアンバランスをいかにほどよく作り出すかにある。

●企業の中で「うまく説明できないけれどもこの先になにかある」といった感覚を簡単に殺してはならない。

●組織作りは上からいじるのが鉄則

●成功する戦略は、会社の体力を考えてまず「戦いの場」を絞ること、そしてそこに、社内のエネルギーを「集中」させていく。その「集中」を実行するために、組織に対し「無理を強いる」「不安を感じさせる」という面を必ず持っている。そのためにはある程度の強引さを持たなければ、ろくな戦略になっていないはずである。社内の大勢が初めから心安らかに受け入れる戦略などは、競合企業の高笑いが耳元で聞こえてきそうである。

●実践的「戦略プロフェッショナル」の条件
1)トップとして、強いリーダーシップを発揮する覚悟があること。その目標がなぜ達成されなければならないかを部下に説得し、士気を鼓舞し、創意工夫を促し、「共に考え、共に戦う気概」を見せなければならない。

2)新しい戦略を考えだす作業手順をマスターしていること。作業のステップごとに、どんな選択肢があるのかをきちんとチェックし、責任者として自分でそれを詰めていく「緻密さ」を持っていること。

3)誰もやったことのない新しい戦略を実行に移そうとしていうのだから、多少のリスクは気にせず、また何があっても「夜はグーグーとよく眠れる」性格であること。


●製品の説明がシンプルですむなら、その製品は市場を席巻できる可能性が大きい。同じように、戦略がシンプルであるうちは、その市場を大きく押さえられる可能性がある。

●セグメンテーションの作業をやらせれば、顧客の心をその企業がどのくらいつかんでいるかがモロに分かる。

●セグメンテーション戦略は静かにやらねばならない。セグメンテーションの組み立て方を得意になって個々の客先で喋ったり、社長がヒントになるようなことをマスコミに漏らしたりしては、戦略の戦略たる意味がなくなってしまう。

●セグメンテーションを成功させるうえで最も大切なことは、それをしつこくフォローするシステムを持つことである。

●セグメンテーションの手法を導入したのに効果が出なかったという場合、セグメンテーションの組み立てが悪かったというよりは、それを組織の末端が忠実に実行したのかどうか、実はよくわからないというケースが圧倒的に多い。・・・セグメンテーションを成功させるうえで最も大切なことは、それをしつこくフォローするシステムを持つことである。

●もともと人間志向の経営者はもっと戦略志向に、逆にもともと戦略志向の人はもっと人間志向に。

●これまで日本の企業は失敗者を許さなかった。同じ会社のなかで敗者復活がない。残りの人生を全部使いきって、ようやくその失敗の汚名を濯ぐという感じで、ものすごく時間がかかった。しかし、これからは違ってくる。先駆的な仕事にチャレンジする意欲と能力のある者を峻別し、できる者にはどんどん機会を与えていかねば、会社全体が競争に生き抜くことができない時代になりつつある。

●日本企業が21世紀を生き抜くためには、現在の30代の社員をリスクのある事業にチャレンジさせ、成功と失敗の経験を蓄積させていくことが、将来の戦略展開にとって重要な成功要因になりつつある。

●もしプロ野球で「弱肉強食」と「人材の流動性」が確保されないなら、いかなる球団もたちまち腐っていく。

●米国は、「創造的頭脳業種」と「優秀なプロフェッショナル育成」の2つを組み合わせて実現することに成功した。その二つを結びつける接着剤として、良くも悪くも強烈な「金銭的インセンティブ」という第三の要素が機能している。その仕掛けによって米国は、弱体化した伝統的業種の代わりに先端部門における世界的優位性を実現し、90年代に米国経済は元気を取り戻すに至るのである。つまり米国における新しい産業活性は、一般企業の社員の改善努力などによってもたらされたのではなく、頭脳的なプロフェッショナルたちの創造性と猛烈な働きによって生み出されてきた側面が強い。

レビュー投稿日
2012年3月11日
読了日
2010年11月13日
本棚登録日
2010年11月13日
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