- 弁護士不足 日本を支える法的インフラの危機 (ちくま新書 1877)
- 内田貴
- 筑摩書房 / 2025年9月11日発売
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ふらっと読んでみた割には、今なお弁護士という職業を縁遠いものと思いつつも、社会の課題としてどう向き合うべきかという点で一つの参照点になった。
具体的な民事・刑事等の弁護士役割(ドラマなどで描かれる)とは離れて、そもそも弁護士が活躍する領野と必要性を勘案したうえで、過疎地医療といった眼前の問題と同様に弁護士の不足が大きな社会問題となり得るということに得心がいった。日米における弁護士の立ち位置といった彼我の違いなどもわかりやすい。
2025年12月6日
- 僕には鳥の言葉がわかる
- 鈴木俊貴
- 小学館 / 2025年1月23日発売
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イラストはページ内のものも含めてて可愛らしく、説明力がある。鳥類学者の川上氏の文章を思い出させるような(そこまではおちゃらけてないか?)くだけた文章で、今となっては学会での称賛や期待の対象であろう筆者の艱難辛苦の部分なども開示されており、その中で地道な労力と理論を支える発想力とった科学者の模範的な像が語られている。
2025年12月6日
- カードゲームで本当に強くなる考え方 (ちくまプリマー新書 505)
- 茂里憲之
- 筑摩書房 / 2025年10月8日発売
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カードゲームの個別具体的な事象というよりかは、行動経済学などをベースとした考えをまとめたもの。筆者も述べる通り、ルールに則って勝敗を決するゲームの類のなかで、根本的な試行の筋道を証明立てるという試行は、エンタメ性とのい背反もあってカードゲームで触れられる機会は確かに少なく、だからこそこの本のタイトルが特異に見えるのかもしれない。内容自体は、行動経済学や心理学の触りをブラッシュアップした感じ。
2025年12月6日
- 文化が違えば,心も違う? 文化心理学の冒険 (岩波新書 新赤版 2078)
- 北山忍
- 岩波書店 / 2025年8月22日発売
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なるほど文化心理学とはこういった領野かと思いつつも、文化人類学の一要素といった感触でもある。文化が違えば心も違う、という本書のテーゼ自体は現代にあってはさもありなんであるが、筆者の長年月の研究成果がその一助となって、我々の感覚が更新されてきたのもまた事実であろう。
2025年11月29日
- 闇バイトの歴史 「名前のない犯罪」の系譜
- 藤原良
- 太田出版 / 2025年9月26日発売
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往々にして犯罪史は読み物として優れた題材だと思う。啓蒙活動やそれに類する犯罪対策の研究に比べると、実地の取材に基づいた専門分野のライターによる筆致は淡々としていながら社会の暗部を如実に提示してくれる。この方の活動の広げ方などは夏原武みたいな感じだろうか。
2025年11月29日
- クラフトビール入門 飲みながら考えるビール業界と社会 (角川新書)
- 沖俊彦
- KADOKAWA / 2025年8月10日発売
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ビール産業の概要や、クラフトビールの歴史の繙きといった点ではコンパクトにまとまっている。実践パートや社会を通じた理念のようなものは、響く人には響くか。
2025年11月29日
- 過疎ビジネス (集英社新書)
- 横山勲
- 集英社 / 2025年7月17日発売
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労作。新書形式とシンプルなタイトルからは、ある程度広く浅く問題を紹介する類かと思いきや、おそらくは相当数の事例が潜むであろう、過疎自治体を食い物にする地獄絵図の一端を根気強く追いかけている。未読だが『対馬の海に沈む』の読後感もこんな感じだろうかと思いつつ、公金をないがしろにする本問題のほうが読む動機としては強い。
2025年11月29日
- 認知戦 悪意のSNS戦略 (文春新書)
- イタイ・ヨナト
- 文藝春秋 / 2025年8月20日発売
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インタビュー形式で読みやすい。奥山氏がラジオ等で述べていた内容の補強といった感じ。「認知戦」の認知とよぶべきもの以上の国家的な対応は、左右の論陣の中で果たして進行するのだろうか。
2025年11月29日
- 蔵書一代 なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか
- 紀田順一郎
- 松籟社 / 2017年7月17日発売
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蔵書問題の属人的な話は、界隈の他の作家のなどでいくらか散見し琴線に触れる経験も多い。
そういったなかで紀田氏については言及される側としてのみ触れていたばかりで、改めて著書を拝読すると、10年近く前のもので年齢等を考えるといくらか古さがありそうなものだが、蔵書問題というものに古今の較差は感じることも少なく、あるいは出版点数の増加や蔵書空間の問題などの逼迫具合でいうとますます問題は現在的に進行しているのかもしれない。
文体にも古臭さが感じられないのが意外であった。
2025年11月8日
- イノベーション 普及する条件 (岩波新書 新赤版 2075)
- 天野友道
- 岩波書店 / 2025年7月23日発売
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読み終えてみると岩波新書っぽいなという硬めの印象ではあるが、イノベーション理論のシュンペーターの議論などに一定程度の興味があれば、その延長上の実践的な経営学・マケティングの造作に迫る内容は新書としてはありがたい。これ以上専門的な領野に踏み入れると頭が痛くなりそうではあるが、分野への興味が啓かれたという意味では収穫があった。
2025年11月8日
- 幽霊の脳科学 (ハヤカワ新書)
- 古谷博和
- 早川書房 / 2025年8月6日発売
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怪談話や霊現象の逸話などを広く渉猟していて、サブカルチャー的な興趣を満たしつつも、脳科学の専門家の知見も適宜挿入されている。
ハラリのサピエンス全史で述べられた認知革命のくだりが、高次機能障害の道具使用の事例を通して如実に実感できたり。
2025年11月8日
- 風呂と愛国 「清潔な国民」はいかに生まれたか (NHK出版新書 729 729)
- 川端美季
- NHK出版 / 2024年10月10日発売
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ニッチな歴史から文化を概観するという試みは好みのもの。それなしの紙幅で淡々と歴史的解明が行われているが、確かにそうだよなという納得感が勝って、驚きのようなものはそこまででもなかった。
2025年11月8日
- 働かないおじさんは資本主義を生き延びる術を知っている (光文社新書 1335)
- 侍留啓介
- 光文社 / 2025年2月19日発売
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ビジネス本ライクなタイトルの割には、ハウツー的ではない資本主義論として楽しめた。橘玲などが好みなら。
2025年11月8日
- 戦争と報道 「八月ジャーナリズム」は終わらない (岩波ブックレット 1111)
- 栗原俊雄
- 岩波書店 / 2025年8月8日発売
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戦争とメディアの関係性といえば佐藤卓己のメディア論など自分にとって興味の湧くものが多い中で、8月ジャーナリズムといえばと手繰ってみるとラジオ出演などで記憶にあった『常夏記者』氏のものと気づく。
岩波ブックレットのページ数もあって、テーマとしては広大な上記の議論にまで至るというよりかは、筆者のライフワークとしての8月ジャーナリズムについて絞った内容であるが、個人的にはそういった属人的部分に興趣が感じられて満足。
2025年11月7日
- ピンチに備える解剖学 (ちくまプリマー新書 503)
- 村上徹
- 筑摩書房 / 2025年9月11日発売
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前半パートは苦手な生物のテキストといった感じで、これを覚える専門家は大変だなと思わされる。後半の実践部分などは、割と身近な題材もあって一つの参考として。
2025年11月7日
- ただいま装幀中 (ちくまプリマー新書 500)
- クラフト・エヴィング商會
- 筑摩書房 / 2025年8月7日発売
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装幀以外の創作活動も旺盛な姿勢はうらやましい限り。ちくまプリマーの装幀はシンプルな印象があるが、並置して眺めると違った感想を得られる。装幀自体の話も、どこかふわりとした空気感がありながら芯の存在も感じられる。
2025年11月7日
- 技術者天国 日亜化学工業、知られざる開発経営
- 近岡裕
- 日経BP / 2025年4月18日発売
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かいつまんでいえばサントリーの「やってみなはれ」のようなスタンスについてということに落ち着く気もするが、科学的記述の過多具合が読者層をどこに向けているのか不鮮明に感じたり、果たして挑戦的な取り組みを好意的に捉えれらるのも一定程度の運が絡んだうえでの結果論ではないかと訝しむ。青色LEDの訴訟問題も一応触れた程度で後半部までスルーに近い形など疑問だった。
2025年11月7日
- 資本主義が人類最高の発明である グローバル化と自由市場が私たちを救う理由
- ヨハン・ノルベリ
- ニューズピックス / 2024年9月30日発売
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資本主義を無批判に首肯するでもないが、改めて本書の流れを辿ってみると、加速主義的な解決策を用いたうえで果たして人類がどうなるのかというスタンスになるのかという気もする。テーゼは大胆だが、議論の理路はしっかりと固められている。
2025年10月18日
- 政治哲学講義 悪さ加減をどう選ぶか (中公新書 2850)
- 松元雅和
- 中央公論新社 / 2025年4月22日発売
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政治哲学とはそもそもなんであるか、という点ではわかりやすいのはサンデルが取り上げたトロッコ問題などになるだろうが、具体的に突き詰めていくと我々の行動全般に及ぶものとも言える。種々の小説などを導入要素に、政治哲学の本筋を追う議論は、新書として程よい噛み応えがある。再読。
2025年10月18日
- ケアの物語 フランケンシュタインからはじめる (岩波新書 新赤版 2071)
- 小川公代
- 岩波書店 / 2025年6月24日発売
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『批評理論入門』でのフランケンシュタインの扱い方の実践といった感じ。視点の多様性とともに、参照する作品も幅広くテーマに寄り添ったものとなっている。
2025年10月18日
- イタリア食紀行 南北1200キロの農山漁村と郷土料理 (中公新書 2853)
- 大石尚子
- 中央公論新社 / 2025年4月22日発売
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イタリア文化や食の話に興味があるにせよ、現地を訪れるほどではない人間からすると固有名詞の多さが気にはなる。
窮地にある農産業の今後という点で、アグリツーリズムという方策は理想論的にも見えるが、観光立国を目指す我が国においても一定程度の蓋然性のある施策なのかもしれない。食の先進国という意味では、歴史のある農業国において、ハイテクノロジー以外の方途はこういった形であることがしれた。
2025年10月18日
- 「あの戦争」は何だったのか (講談社現代新書)
- 辻田真佐憲
- 講談社 / 2025年7月17日発売
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戦後80年ということもあって総括としての話題性は今なお健在のアジア・太平洋戦争に関して、いくらか焦点が絞られていた筆者のこれまでの著作と比べても概観的に論を繋いでいる。
日本が突入した戦争の時期的な定義とそれに絡まるイデオロギー。歴史というifの存在しない事象へのそれでもという反実仮想。戦時下に直接・間接的に交わった国々における感覚と、そもそも現代日本において確立されずじまいの総合的な評価。一連の流れを追うと、今なおこの込み入った歴史哲学的な問題の解消は残された国家の課題であると見えてくる。
2025年10月11日
- 立ち読みの歴史 (ハヤカワ新書)
- 小林昌樹
- 早川書房 / 2025年4月23日発売
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文字通り本書を立ち読みした際は、章立てなどがそれほど魅力的に思えす『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』に手を伸ばす形になったわけだが、
立ち読みを通した出版文化の変遷に関して、同著者の『調べる技術』での知識を活かした充実した成果がまとめられていると思えた。リアルタイム性のある出版文化史のような妙味は少ないが、歴史学に習った実証的な新書としてまとまっている。
2025年10月4日
- 物語化批判の哲学 〈わたしの人生〉を遊びなおすために (講談社現代新書)
- 難波優輝
- 講談社 / 2025年7月17日発売
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現代思想チックな語りとテーマは大いに興味を引かれるものの割に、読後感がしっくりこない。ギャンブルの話題などはとっつきやすかったが、個人的な感性として合わないのかも。
2025年10月4日






