「創造性について」という書籍にはビジネス書に近いものや、脳神経科学からそれを見つめるものが散見されるように思うが
本著は門外漢の生物学者が、そのバックグラウンドを活かしつつ芸術とは何かを掘り下げるというもので良くも悪くも想定外だった。
軸とする「天然表現」という概念については、他の著作で取り上げているようなのでいずれ手に取ってみようと思うが、
「芸術とはなにか」をメタ視点で創造性の観念に繰り上げた上で、それを消化する為にさらにメタな視点が述べられているような感覚で、(一般人が知るような著名な作品よりはるかに抽象的な、近代的と呼ぶべき?)アートに不得手な自分としては根本的な発想の転換を促されるようなベクトルの重みを感じたじろぐばかりであった。
観念的な問題を研究の対象として述べる専門書じみた章を於いておくと、得体のしれない動力が主人公を突き動かしている様は、彼のライフヒストリーを交えつつ語られる中で、芥川賞作家の境遇と作品への縺れ具合のような、エンタメ性を遠ざけた文学的な趣すら感じられた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年2月25日
- 読了日 : 2024年2月25日
- 本棚登録日 : 2024年2月25日
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