「どうしてハンナは敵になってしまったの?」
「大人がバカだからさ」
という終盤のやり取りに号泣しました。
第二次世界大戦中のウクライナが舞台。ユダヤ人の神童(これが原題のwunderkinder)、ピアニストのラリッサとヴァイオリニストのアブラーシャ。アブラーシャは演じている本人が神童と名高いヴァイオリニストなので、演奏シーンに深みが出ます。
脱線しますが、どれだけ演者の技量が高くても、本当に楽器を演奏している人間のようには弾けていないことが9割ですが、今回は演奏者でしかできない顔の表情、体の動き、目線、指の動きがあって、演奏シーンは格別です。
映画が始まったときにはソ連とドイツは平和条約を結んでいるので、不穏な空気はありつつもまだ平和なのですが、それでもアブラーシャのおじいさんが「アメリカに行きたい。あそこは我々(ユダヤ人)を差別しないから」と言っているのに傷つきます。そこから、ソ連の支配下に置かれ、ドイツ人のハンナはラリッサとアブラーシャに匿われ、そこからまたすぐにドイツ支配下に置かれるので、次はユダヤ人であるラリッサ、アブラーシャの家族をハンナたちが匿う…。
戦争は、なにも良いものを生み出さないのだと、いつになったら人間は学ぶのだろう?と思いながら見ていました。人間の歴史ももう2000年以上あるのに、いまだに戦争や紛争が終わらないのは、それを求めている人がどこかにいるからなのかな、と。
良い映画でした。ただ後味はよろしくないので、気分がすでに落ち込んでいるときや、映画を見た直後に人と会うときなんかは自重した方が良いかもしれません。
- 感想投稿日 : 2016年12月14日
- 読了日 : 2016年12月14日
- 本棚登録日 : 2016年12月14日
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