あらくれ (講談社文芸文庫)

  • 講談社 (2006年7月11日発売)
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本棚登録 : 138
感想 : 14
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心理描写をほとんどされず、ずんずん移動し続けるヒロイン・お島。

いかにも新聞小説らしい。
日々迫り来る締め切りに間に合わせるために、まさに、書くために描くという感じ。

なにかしらの「心理」(=真理)を描くのではなく、ただ「書く」というその一事につき、そこにある物・事を描いていった作品という印象だった。

一箇所に滞留して掘り下げるのではなく、絶え間なく動き、移動し続けていくお島について、頁をめくっていっても(柄谷が「日本近代文学の起源」で言うような、)内面という「深さ」は感じられない。
そこにあるのは、ひたすらに「広がり」である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本小説
感想投稿日 : 2012年5月6日
読了日 : 2012年5月6日
本棚登録日 : 2012年5月5日

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