心理描写をほとんどされず、ずんずん移動し続けるヒロイン・お島。
いかにも新聞小説らしい。
日々迫り来る締め切りに間に合わせるために、まさに、書くために描くという感じ。
なにかしらの「心理」(=真理)を描くのではなく、ただ「書く」というその一事につき、そこにある物・事を描いていった作品という印象だった。
一箇所に滞留して掘り下げるのではなく、絶え間なく動き、移動し続けていくお島について、頁をめくっていっても(柄谷が「日本近代文学の起源」で言うような、)内面という「深さ」は感じられない。
そこにあるのは、ひたすらに「広がり」である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本小説
- 感想投稿日 : 2012年5月6日
- 読了日 : 2012年5月6日
- 本棚登録日 : 2012年5月5日
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