6人の有名ミステリー作家の短編集である。
有馬頼義氏の作品は、今まで読んだ事が無かったのだが、「空家の少年」は、少年の初恋の感情が、隣家の15歳もの年上の人妻に 心が奪われる。
精神的な恋心なのだが、、、空気銃の発砲から、隣の庭の穴を掘っている事から、殺人事件の共犯者として、隣人の夫が、逮捕されるのだが、、、、最後の隣人の妻と少年の会話の後、空き家になった隣家から、見つかった者は・・・・インパクトが、強い作品である。
石沢英太郎氏の「その犬の名はリリー」
妻が、事故死した夫の残した可愛がっていた犬の名は、リリー。
そして、親しく通っていたスナックの名も「リリー」で、そこの雇われママは、妻の学生時代の友で、憎悪が、剥きだす。
しかし、本当に付き合って浮気した相手は、予想外の女であった。
江戸川乱歩氏の「陰獣」
ストーカーが、殺人へと発展するのだが、、、
屋根裏に居た人物は、誰だ?
実業家の小山田六郎か、探偵作家の大江春泥の平田一郎か?
なぞときに、乱歩の上手さが、光る。
折原一氏の「耳をすます部屋」
仕事を持つ母と、主婦業の母との子供の同士の付き合いで、人の良い主婦が、学校の終わった後、面倒を見るのだが、、、子供も、遠慮が、助長してきて、横柄な態度に、、、、
一瞬、読んでいて、主婦の方が、堪忍袋の緒が、切れたのだと思ったのだが、、、意外な終り方であった。
鈴木輝一郎氏の「あなたのためを思って」
ゴミの中に、たまたま捨てられていた猫の死骸を入れたことから発端に。
そこに現れたのが、区民定着サービスの老婆。
そして、中国のようなどこの場所に居ても見られている感覚と、自分の生活に土足で、踏み込まれている感覚が、爆発してしまって殺人を犯して、老婆をゴミ袋に入れるのだが、、、、そこで、又別の人物が、現われるのである。
宮部みゆき氏の「さよなら、キリハラさん」
突然に耳が聞こえなくなってしまったら・・・・
ある一家に 家の中で、音が遮断されたようになる。
そして、キリハラなる人物が、現われ、音波管理委員会からの派遣されて来たという。しかし、実態は、父親と一緒の会社の研究スタッフであり、祖母の自殺をも止めた男である。
今まで、平穏に過ごしていたのに、、、、
会社の上司が、難聴をしないようにと、高性能の耳栓開発の為であった。
どれもこれも、読み終えて、短篇なのに、どっしりとした感覚であった。
- 感想投稿日 : 2019年10月2日
- 読了日 : 2019年10月2日
- 本棚登録日 : 2019年10月2日
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