ぼくたちの英語

著者 :
  • 三修社 (2009年11月20日発売)
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本棚登録 : 157
感想 : 21

【概略】
 「英語教師」という言葉から、どのような姿を連想するだろうか?また、どのような姿であって欲しい、と連想するだろうか?おそらくは、その期待のハードルは、高いのではなかろうか。
 英語は言語の一つとして存在し、英語圏文化の具現化したものの一つ。英語を学ぶことで、その分化に触れ、楽しさを享受することができる。その楽しさふ触れるキッカケを生徒達に示すこと、英語教師の重要性は、そこにある。
 理想的な英語教師とは、一体どういった姿なのだろうか?生徒達に指導する英語の質は、どのようなものがよいのだろうか?また、プロとして、自己研鑽をするにあたり、どのような姿勢を意識すればよいのだろうか?
 「英語学習者」ではなく、「英語教師」に向けて放たれた、必読の一冊。

2012年01月20日 読了
2020年03月13日 読了
【書評】
 ネットでは味わえない楽しみの一つが、本屋さんでの偶然の出会い。この本は、本当にたまたま本屋さんをぶらついていて、何故か目に留まり、何故か購入した一冊のひとつ。読んだ当時は、自身の英語への触れ方は正しい方向性なのか?という部分を確認したかったって気持ち、あったと思う。そして、この本に記載されている内容と自分のアプローチがかなり重なっていたこと、それに安堵した記憶がある。
 年月が過ぎ、現時点の英語話者としての自分の感覚と、この本の中身との違いはあるのかな?と、久々に手に取って読んでみた。大丈夫だった。
 色々な「英語教師」と出会い、やりとりをさせてもらってる。公立・私立・塾・・・様々な背景・状況で皆さん、英語を教えていらっしゃる。自分も一時期は色んな状況で指導をしていたし、最近は久しぶりにプライベートレッスンのお願いを受けてる。そんな中、指導する立場になってもなお、いや、場合によっては教わる立場以上に英語に対して取り組んでいる方達もいれば、「え?本当に教師なの?」と思わざるをえない雰囲気をまとった方達もいて。不思議に感じてたのだよね。
 本書では、もちろん、前者のような方達になって欲しいという願いが込められて作られている。生徒に「1」を教えるために、「10」の準備をする、というもの。そして、自分自身の肌に合ってる指導法とは別に、色んな状況に対応できるような引き出しの多さを想定している。それに伴い、記述に「指導する立場にあるような方達には凄く充実した勉強法だけど、これを生徒にいきなりぶつけるのはね」的な発言などもある。こういった柔軟性、凄く大事だと思う。
 出版されてから10年以上の月日が流れているため、既に絶版になっている、またはさらに新しいものが出版されている可能性が高いが、プロの英語教師として持っておきたい辞書や書籍なども語られているのが嬉しいねぇ。この本を参考に何冊か購入したし、あらためて読んでみて、また欲しくなったもん。
 そして、今回もっとも効果的だったのは、著者を軸として、Cくん・Pくんという現役英語教師、しかもベテランではなく、若くこれからの方達で、意欲的な二人を登場人物として、会話形式で論を作り上げてく方式をとったこと。「英語教師とはかくあるべき」という形で、一本の川の流れのように記述する方法もあると思う。もっと専門的に深度を高めた書籍としては、その方法の方が効果的かも。この本は逆に、英語教師の立場として、気付いて欲しいということに力点が置かれている。だからこその今回の形式なのでは、と思う。
 30歳(2004年?)から英語に再び触れ始めて、母語の日本語のクオリティを上げる必要性も感じている昨今、あらためてこの本を読んでよかった。本は一種の鏡なんだ、ということを再認識したね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 英語学習
感想投稿日 : 2020年3月14日
読了日 : 2020年3月14日
本棚登録日 : 2020年3月14日

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