中学生の頃話題だったこの本をチラッと読んだ時の衝撃で、村上氏の作品は無意識に避けてきた所があったのだが、24年物の本書を実家で発見し、名作と言われているものだから読んでおくべきかと思い、上下巻何とか読了しました。
結論で言うと、あまり好きではなかった。
空気が重すぎた。
上巻冒頭の第一章ですでに、自分がどんより湿った薄暗い空気に包まれた気分になり、最後までそのどんより感が身を纏い続けて、これ以上話が続いたら、自分も鬱に引き込まれそうな気分がした。
村上氏の作品は、前述のように食わず嫌いな部分があり、村上作品を好むことは正直高級ブランドを身につけているような、村上作品が好きな自分が好き的な部分があるのではという偏見をもっていたのだが、いわゆる日本の文学とは違う空気を持っているなというのが、ド素人(だからこそ?)の感想だ。
この作品の苦手な部分としては、登場人物(特に女性陣)の一人語りで、冒頭は流れるような文体で情景描写もスッと入ってきたのが、人物が語りだすと長すぎて言い回しも非常にクドく、押し付けがましく感じられて全く同情出来なかった。
ものすごく読みにくい翻訳の海外文学のような感じだった。
著者のメッセージと思われる死生観、思春期の多感な若者の心の葛藤やモヤモヤなどわからなくもないが、無駄に多い性描写を用いないと表せなかったのかどうかも疑問に思うし、なにより最後まで救いの光があまりにもなさ過ぎて、キツかった。
実際に心の病を患っていたり、大事な人をこういう形で失った経験のある方には、絶対にオススメできない。
ただ、独特の世界観と何故か引き込まれる吸引力はさすがと言える物で、これだけ賛否が分かれるのもそれ故なのかなと。
これに懲りず、他の村上作品も読んでみようかと思う。
- 感想投稿日 : 2012年9月22日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年9月22日
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