海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

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本棚登録 : 26168
レビュー : 2021
著者 :
きのPさん 小説   読み終わった 

【感想】
章によって、偶数と奇数で全く別の主人公の物語が進んでいくスタイル。
はじめは全く関連性のない状態で、「パラレルみたいなものかな?」と思っていたが、段々と2つのストーリーが織り重なっていくのが読み取れた。

また、タイトルからすると、三島由紀夫の「潮騒」のようなほんわかとした内容かと思っていただけに、16章と18章のナカタさん編が衝撃だったなぁ。
ある反抗期少年の青春ものの作品かと思っていたのに、まさかサスペンスとは。

全く先の読めないストーリーに、ついついページを繰ってしまう手が止まらないですね。
下巻も非常に楽しみ!



【あらすじ】
「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」
―15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。
家を出るときに父の書斎から持ちだしたのは、現金だけじゃない。
古いライター、折り畳み式のナイフ、ポケット・ライト、濃いスカイブルーのレヴォのサングラス。
小さいころの姉と僕が二人並んでうつった写真…。


【引用】
15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。


p274
「曲のタイトルはなんていうんですか?」
「海辺のカフカ」と大島さんは行った。


p313
「僕はごらんのとおりの人間だから、これまでいろんなところでいろんな意味で差別を受けてきた。」
「ぼくがそれよりも更にうんざりさせられるのは、想像力を欠いた人々だ。
TSエリオットの言う『うつろな人間たち』だ。
その想像力の欠如した部分を、うつろな部分を、無感覚な藁クズで埋めて塞いでいるくせに、自分ではそのことに気づかないで表を歩き回っている人間だ。
そしてその無感覚さを、空疎な言葉を並べて、他人に無理に押しつけようとする人間だ。」

「結局のところ、佐伯さんの幼なじみの恋人を殺してしまったのも、そういった連中なんだ。
想像力を欠いた狭量さ、非寛容さ。
ひとり歩きするテーゼ、空疎な用語、簒奪された理想、硬直したシステム。
僕にとって本当に怖いのはそういうものだ。」

「何が正しいか正しくないか。もちろんそれはとても重要な問題だ。
しかしそのような個別的な判断の過ちは、多くの場合、あとになって訂正できなくはない。大体の場合、取り返しはつく。
しかし想像力を欠いた狭量さや非寛容さは、宿主や形を変えてどこまでも続く。」

レビュー投稿日
2019年1月9日
読了日
2019年1月9日
本棚登録日
2019年1月9日
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