人間失格 (新潮文庫)

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レビュー : 1950
著者 :
kinya3898さん  未設定  読み終わった 

「恥の多い生涯を送ってきました。」という、まぁ、ぶっちゃけ身もふたもない、主人公 大庭葉蔵の手記から始まる、あまりにも有名な小説を新年早々38年ぶりに再読。

今作は昭和23年に上梓。「斜陽」と並ぶ太宰の代表作。
書き上げた1ヶ月後に、前年、屋台のうどん屋で知り合い、愛人となってまだ日も浅い山崎富栄と玉川上水に入水自殺を図る。流行作家が愛人と身投げというセンセーショナルさも手伝い、遺作として自叙伝を書いたとも言われ当時ベストセラーとなった作品。

さて本書。主人公 葉蔵がこれまでどんな人生を送り、その我が人生に影のようにつきまとう“孤独”が如何様なものであったか、その孤独がもたらしたものとは…」を、幼少期から薬物中毒に至るまでを終始葉蔵の独白で綴られていく。

言うまでもなく決して明るい小説ではない。葉蔵が齢を重ねるにつれどんどん壊れていく、救いようのない展開が進むのだが、ついつい笑ってしまうのだ。

それは葉蔵がとにかく女にモテるからだ。
そのモテ方は尋常じゃなく、カフェの女給と心中を図るも自分だけが生き残り、その心の傷も癒えぬうちに雑誌記者の女性の家に転がり込んでヒモ男に。少し落ち着くのかと思えば、突然タバコ屋の純情娘と結婚する。「袖触れ合うも多生の縁」の数珠つなぎというか、それを逆手に取ったのか思いたくなる程の『だめんず』。「これだけモテてて何が孤独や!」と思う人は少なくない筈。もっともなツッコミである。

「私が支えてあげなくちゃ!」という女心。恋の百戦錬磨の男ゆえ女性の扱い方を熟知。この2つが見事に交錯する人がモテるんですな。55歳になって「“モテる”を科学できた」と実感。お金があるところにお金がさらに集まるみたいなもんでしょうか。

そこで『人間失格』を、男性は「モテるための指南書」として、女性は「“だめんず”診断」として読む。不朽の文学を齢を重ねてから読むと、「な〜んだ。取っつきやすいじゃん!」と思えるはず。

太宰の著した作品が、太宰より先に生まれ、彼自身が先達の作品として読んでいれば、薬物中毒にならず、死なずにすんだかもしれないと思うのは、文学に求め過ぎか。

レビュー投稿日
2019年2月4日
読了日
2019年2月4日
本棚登録日
2019年2月4日
7
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