時代は戦後間もない昭和29年。舞台は「もはや戦後ではない」の言葉には程遠い、荒涼たる北海道・函館。実際に起こった青函連絡船 洞爺丸沈没の海難事故に想を得て描く、上下巻合わせて1000ページの壮大なミステリー。
今や立志伝中の人物となった主人公の完全犯罪を老練な刑事が足を使った執念の捜査で切り崩していく。極貧と出自が犯罪に深く影を落とす下りは松本清張の砂の器同様の匂いがする。でも、まったく古さを感じさせないミステリー。昭和40年に内田吐夢が映画化。三國連太郎・左幸子・伴淳三郎らが出演で、当時の映画賞を総なめ。著者は三國連太郎を執筆時からイメージしながら書き進めたのではないかと思える程、当時48歳の三國連太
郎のキャスティングはピッタリと、観てもないのに確信する。秋の夜長に不朽の骨太ミステリー。睡眠不足必至です。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2016年10月18日
- 読了日 : 2016年10月18日
- 本棚登録日 : 2016年10月18日
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