死ぬこと以外かすり傷

著者 :
  • マガジンハウス (2018年8月28日発売)
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本棚登録 : 4143
感想 : 454
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著者はビジネス書の分野では後発であった幻冬社を
一躍売上トップに押し上げた敏腕編集者 。
News Picks Booksというレーベルを立ち上げ、
堀江貴文著『多動力』、佐藤航陽著『お金2.0』など
ベストセラーを連発しているヒットメーカー。

先ずこの本のタイトルが好みじゃないけど、出版業界の
風雲児 箕輪厚介の人となり、これまでの来し方、
どのような仕事ぶりなのかを知りたく手に取った。

で、読み始めると著者の吐く言葉の端々に彼の親分で
ある幻冬社社長 見城徹が影がちらつき、内容が中々頭に
入ってこない。見城氏の本をプロデュースするぐらい
だから多大なる影響を受けていることは分かるが、
見城徹の著作にある「熱狂!」とか「顰蹙を買え!」
とか「周囲を巻き込め!」といった、口角泡飛ばし
アジテートし、咆哮する鼻息の荒さが立ちのぼり、
55歳の僕には暑苦し過ぎる本であった。
「見城徹のエピゴーネンやん!」という印象が渦巻き、
鼻じらみ、斜め読みに終わった。

読書には「この本に出会えて良かった!」と実感する
「適齢期」が存在する。20代30代前半の千本ノックの
洗礼を受けなきゃならない時期の社会人には、著者の
企業内起業家としての生き方や自己のブランディングなど、終身雇用が崩壊した世に生きるビジネスマンに
とってはひとつの指針になり参考になるだろう。
何よりも「努力は夢中に勝てない…」、この言葉に
象徴される「能書きを垂れる前に手足を動かせ!」という旺盛な行動力にインスパイアされる人は多いはず。

著者を評して「彼は出版界のセックス・ピストルズだ。
上手いか下手かではなく、熱いかどうか?伝わるか
どうか?に命を懸けている。彼自身がパンクそのもの
だから、彼の手がけるビジネス書もパンクなんだ!」
という大賛辞を贈る人さえいる。

ちなみに、ここでいうパンクとは、黒子としての編集者
ではなく、自分が読みたい本と思える本を積極的に
プロデュースし、本を通じて世間に問題提起することと
僕は解釈する。

著者への評価は、見城徹へのオマージュとリスペクトが
取り除かれた、彼が編集した本を読んでから判断すべき
かも…。 先ずはホリエモンの『多動力』を読んでみるとしますか。
この本に書かれてあることを著者は片っ端から実行に
移したと坦懐しているので。

最後に、近ごろ人材払底はなはだしい「情熱大陸」に
おいて、久々にスマッシュヒットしそうな人である…、
そんな匂いがプンプンします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネスー知的生産
感想投稿日 : 2018年9月18日
読了日 : 2018年9月18日
本棚登録日 : 2018年9月18日

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