プルーストを読む 『失われた時を求めて』の世界 (集英社新書)

  • 集英社 (2002年12月17日発売)
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感想 : 19
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「失われた時を求めて」の入門書であり、読書中の羅針盤であり、読後の解説書でもある。集英社文庫版の訳者による解説書。長い時間をかけて読んでいるので初めの巻の内容はだいぶ忘れていた。いくつものテーマが絡み合い、円環のように最後に一回りする構造らしい。まだ最後まで読んでいないのに始めから再読したい気持ちにさせてくれる。

解説を読んで気づいたが、主人公の想像力と知覚はデゼッセント譲り、ゲルマント公爵夫人の「才気」(エスプリ)はサンチョ・パンサの諺と同じだった。

スノブと似て非なるダンディの言及が興味深い。ボードレールによるとダンディとは精神主義やストイシズムと境を接する「自己崇拝の一種」で「独創性を身につけたいという熱烈な要求」て、「頽廃期(デカダンス)における英雄主義の最後の輝き」であるらしい。スノブたちを書いたプルースト自身もスノブであり自覚をしていたというのも興味深い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年12月6日
読了日 : 2011年12月6日
本棚登録日 : 2011年12月6日

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