火の鳥 3ヤマト・異形編 (角川文庫)

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レビュー : 47
著者 :
きりんさん  未設定  読み終わった 

今回スポットを当てられたテーマは「生きる意味」について。
ヤマトの国の王は自らの権威を示すため大きな墓を建設し、多くの人間を人柱にしようと計画します。その子供で第5王子のオグナは、葛藤の末「父を欺くための偽の墓造り」を自らの生きる意味としました。折角作った物も偽物だとバレたら壊されるだろうし、自分も殺されるだろう。しかし父が死ぬまでの時間稼ぎができれば、人柱に捧げられるはずだった人達を救える。結局父の死後オグナは人柱として生き埋めにされてしまうのですが、愛する女性カジカと土の中で満足して死んでいきます。

「こわくないよ ぼくは満足してる ぼくの一生はちからいっぱい生きてきたんだ 
 悔いは無いよ それに…きみがここにいっしょだから」

オグナの願いが聞き届けられ、その後は墓には人柱では無く土偶を代用することになりました。
また、ヤマト王は死ぬ時になって初めて、これまでの自分の人生を「墓を作るためだけの人生だったのか。なんてくだらない人生だ」と後悔します。
私自身、もし今死んだら何のために生きていたと言えるんだろうと考え恐ろしくなりました…。

黎明編のラストで1人穴の外へ出た子供が、クマソの国の最長老として出てきます。
「お若いの 人間はな 死なないことがしあわせではないぞ 
生きているあいだに…自分の生きがいを見つけることが大事なんじゃ」


異形編は因果応報のお話。これまでのシリーズとは少し毛色が違う印象を受けました。火の鳥は罰を与えるために現れる。
病気の父に死んでほしいと願った左近介(女)は、父の病を治す力を持つ尼御前を殺そうと決意する。左近介が尼御前を殺すと、その罰として時間が戻り、左近介自身が尼御前として生きることとなる。彼女は火の鳥の羽根を使い、長い年月人々の病を治すことに従事する。そして最期、左近介は過去の自分の手で切られ死んでいく。途中で逃げようと思えば逃げられたのに、あえて罰を受けることを選んだ彼女。これもある種永遠に生きるということなんでしょうか。逆行する時間の中で、一人の人間が生まれて死んでを繰り返すというのは数奇で新しいパターンです。

「あなたは人殺しの父を憎んだ 
 それなのにあなた自身人を殺したではないか?」
「…でも父が助かれば もっともっと大勢の人間が殺されたわ」
「だからしかたがなかったというのですか?罪は同じです!
 だから裁きを受けるのです」

レビュー投稿日
2013年1月10日
読了日
2013年1月10日
本棚登録日
2013年1月10日
3
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