こうばしい日々 (新潮文庫)

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本棚登録 : 4341
レビュー : 319
著者 :
kiteretsumameさん  未設定  読み終わった 

一つひとつの言葉が繊細で美しくて、ガラス細工みたいで、江國香織さんの本のなかでも大好きな1冊。
初めてこの本を読んだのは中学生のころだったと思う。思春期が始まりかけた男の子と女の子がそれぞれ主人公となった2篇の物語に、当時の私は、まだまだ幼い友人のことのようにちょっと上から目線で読んでいた気がする。
大人になって改めて読んで、中学生という誰もが早く大人になりたいとジタバタしていた時代がなんと愛らしく大切なものだったかを知った気がする。親や先生、友達の言動一つひとつにあんなにも正直に受け止め頭をぐちゃぐちゃにしながら懸命に自分の未来をさがしていた。あんなピュアな心を私はいったいどこに置いてきてしまったのだろう。

この本を読んでほしいのは、登場する食べ物があまりにも魅力的だからだ。大介がパーネルさんに焼いてもらうチョコレートブラウニー、みのりがおばあちゃんと一緒に食べるみつまめや次郎君と一緒に飲むコーヒー。読みながらその味や香りがありありと想像できてしまって物語にいっそう彩をもたらしてくれる。初恋の甘さや、大人になり切れない苦さ、いつまでも変わらない懐かしい味。味覚までも操る江國ワールド、ほんとに好きだ。

レビュー投稿日
2017年1月9日
読了日
2017年1月9日
本棚登録日
2017年1月9日
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