ゴシップ好きなので、真っ先に伊藤野枝について語る「ふもれすく」を読む。つい想像たくましく読んでしまう。教師と生徒の関係の頃、野枝さんのことを何とも思ってなかったように書いてあるが、本心だったろうか。30歳を前にして人生をはじめて謳歌すべく結婚を決断し、愛し合ったことをクールに語るが、真実は語る以上に情熱的だったろうな、とか。
別れの前に大げんかしたようなことがあり、リアル。社会運動に没頭する野枝さんのことを、辻は家庭のことすらできないくせにと思っている。一方で、野枝さんは辻のことを社会運動に理解のない見下げた人間と見ている。野枝さんは現代でいう、意識高い系の代表格みたいな存在。ついつい正義を含めたあらゆる価値を相対化してしまう辻とは上手くいかなかったことだろう。
ニヤニヤしたのは、辻自身が紹介される際に野枝さんの亭主だの前夫だの言われることに不快感を表明しているところ。自身を低く見積もる辻の中にもプライドが垣間見えて安心した。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年7月29日
- 読了日 : 2017年7月29日
- 本棚登録日 : 2017年7月29日
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