フラッシュ・クラッシュ Flash Crash たった一人で世界株式市場を暴落させた男 (1)
- KADOKAWA (2020年11月27日発売)
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感想 : 5件
2010年5月6日のフラッシュクラッシュの引き金になったトレードは、
イギリスの若者がベッドルームから仕掛けていたというお話。リーマンショック後に取引の大半が高速取引に置き換わっていく中で、それにあらがい裏をかきにいった個人トレーダーがいるという、「巨大市場vs個人投資家」の構図。個人的にはこのパターンの物語は好き。特に証券市場もので。
著者がBloombergのアナリストだけあって、各方面への取材を元に描かれているようで、主人公であるナブの人物像が立体的。生い立ちから、数字に関わる狭く分野で異常に深く優れた能力を発揮できる部分がトレーディングにはまった。しかし対人関係が極端に弱く、結局食い物にされてしまっている。結局これは悲劇、なのかな。
ナブが開発したソフトのロジックなど細かいところまで描かれていて知識としておもしろいけれど、全体として訳のせいなのか、文章に抑揚があまり感じられなくて、物語として没入しきれなかった。映画化されたら見に行きたい。
ナブがスキャルピングで財をなしていくくだりは、その才能も環境もがない自分としてはうらやましい。自分が市場に勝つには、数ヶ月間の中期トレードの方があっているとは思うけれど。
著者あとがきから、類著に下記5冊。
マイケル・ルイス 「フラッシュ・ボーイズ」
スコット・パターソン「ダーク・プール」「ザ・クォンツ」
ジョン・サセックス「デイ・ワン・トレーダー」
エドウィン・ルフェーブル「欲望と幻想の市場」
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
金融
- 感想投稿日 : 2024年2月24日
- 読了日 : 2024年2月24日
- 本棚登録日 : 2024年2月19日
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