丘の上

著者 :
  • 青空文庫 (2007年12月26日発売)
3.00
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 3
感想 : 1
3

 太宰治にもっとも尊敬され、芥川龍之介、川端康成も絶賛したという豊島与志雄。太宰治の葬儀に際しては葬儀委員長を務めるほど親交があったと言われている。
豊島与志雄はひとの心理分析に優れていた。そのため、主人公の感情が多く描かれている。しかし、その感情はとても暗く狂気的である。それ故に私たちには理解できない部分も多々あるが、太宰治や芥川龍之介などのように有名な作家たちは彼の描く主人公の感情を理解し、彼の小説を讃え彼を尊敬した。そんな豊島与志雄が書いたこの作品は、情景が細かく描かれていてその丘の上に自分がいる様な感覚になりこの本の世界に一気に引き込まれていく。
 この本にも、主人公の多くの気持ちが描かれている。
この作品では、一人の男性が文通を通じて一人の女性と丘の上で出会うところから始まる。その男性は今までの人生で沢山の人の死に遭遇してきた。大抵の人は人の死に接すると、沈んだ気持ちになる。しかし、その男性は人の死をみるといつも、ぱっと明るい日の光がさしていた。彼は、そのことを不思議に思っていた。そして、その女性に出会ったことにより彼は、人の死に直面した時日の光が射すことを不思議に思うことは無くなった。彼はその女性によって心を変えられたのである。また、その女性も彼との出会いによって心を変えられる。そして主人公たちは、お互いに出会ったときの表情から笑顔が増えていく。
 この作品は、今までに読んできた作品とは違う独特な雰囲気がある。また、私たちが送っている普通の生活には無い感情が描かれているため読んでいて難しく感じてしまうが、今までの人生には無かった感情なのでとても新鮮で面白い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2019年10月14日
読了日 : -
本棚登録日 : 2019年10月14日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする