ホモ・デウス 上下合本版 テクノロジーとサピエンスの未来

  • 河出書房新社 (2018年9月6日発売)
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感想 : 40
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サピエンス全史の続編(?)ということで、利益に走ったのではないかと勝手に思って敬遠していたが、全くそんなことは無く、予想以上に深くて面白く、読み応えがあった。
内なる単一の自己なんてものは存在しないと皆が思い、生物は有機的アルゴリズムだと考えるようになるならば、人間至上主義はデータ至上主義に取ってかわられる気がする。
でも、必ず意思決定のための共同主観的な要素は残るので、果たしてその時に科学によるアップグレードは、一握りの価値観がより広く共有される方向と、多様性の共存を実現する方向のどちらに向くのか?

最近流行りのSDGsとかは前者なのか後者なのか?サステイナビリティという観点でマクロでは単一の価値観を共同主観にしようという試みな気もするし、目指すゴールは後者に近い気もする。

あと、ESG投資とかではない、旧来からの資本市場は既に限られた範囲内でのデータ至上主義になっているけれど、オルタナティブデータによる投資行動とかがもっと進むと、日常のあらゆる事象が市場の構成要素になって、その金銭的価値が人間自身を上回り、人は単なるデータ元になっていく気もする。
信用スコアリングとかもそうだなー。信用のアルゴリズムを重視して、自身の欲求(生物の有機的アルゴリズム)を抑えるために薬とか使うのは、人間至上主義をデータ至上主義が上回っていることになるのか?タバコをやめるためにニコチンパッチを貼るのは、人間を有機的アルゴリズムの集合体として扱っていることになるのか?

何にせよ、こういう観点がおると、ITと生物の勉強はとても面白くなりそう。

(うーん、感想書きながら思ったけど、もう一回通して読まないと消化しきれてないなー)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2019年6月6日
読了日 : 2019年6月5日
本棚登録日 : 2019年2月17日

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