生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来 (現代哲学への招待 Great Works)

  • 春秋社 (2015年7月24日発売)
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人間の脳は、感覚器官や無意識でできる動きといった生物的なもの、言語、文字という人間固有のもの、ペンと紙、ARといったテクノロジーまで、皮膚の内外の区別なく、様々なものを道具として扱っている。

ある道具が自分の一部として感じられるか、というのは、そのインタラクションがどれだけスムーズに行なわれるか、という量的な問題でしかないと著者は主張する。例えば、腕時計をつけている人は、「いま何時か分かりますか?」という質問に対して、その時点では何時か知っていなくても「はい、分かりますよ」と答えて時計を見る。
このことから、人間の境界を皮膚の内側とするのではなく、スムーズに接合されたテクノロジーを含めて人間と捉えるべきだ、と提案するのが本書のテーマ。

著者は、人間が思考し、テクノロジーを発達させることができた大きなきっかけが言語を持つようになったことであると述べている。思考から言語が生まれたのではなく、言語によって思考が生まれたのである。
この考え方はサピア、ウォーフの言語的相対論に拠っている。これに対して、人間は普遍的に心的言語をもっているとするのがチョムスキーなどが主張する普遍文法論である。
このあたりの思考と言語の関係についてもっと学んでみたいので、次はスティーブン・ピンカー「思考する言語」、ダニエル・L・エヴェレット「ピダハン」を読んでみる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年2月8日
読了日 : 2016年2月8日
本棚登録日 : 2016年2月8日

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