トラウマ文学館 (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (2019年2月8日発売)
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本棚登録 : 213
感想 : 18
3

1.子ども

■★直野祥子「はじめての家族旅行」少女漫画棚……斎藤真理子さんの忘れじの一品だそうだが、確かにこりゃトラウマだ。子どもの頃はこういうことばっかり考えてくよくよしていたが、それが絵になると。

■原民喜「気絶人形」児童文学棚……感じやすさから自分を守るすべが、幼いものにはないのだ。これはつらい。

2.思春期

■★李清俊、斎藤真理子訳「テレビの受信料とパンツ」韓国文学棚……これは地味ーに滑稽ーで厭ーな感触。忘れがたい父さんだ。「大人は判ってくれない」だけでなく、確かに「大人がわからない」という思春期の感じ方もあるけど、35を超え、もはや読みながらこの父親が他人に思えなくなくなっている。

■フィリップ・K・ディック、品川亮訳「なりかわり」SF棚……自分は自分じゃないかもしれない、という思春期特有の悩みを、周囲が押しつけてくる、という恐怖。

3.青年期

■筒井康隆「走る取的」追いかけられホラー棚……わが少年時のトラウマの一品。夜の電車の窓からこちらを睨みつけている、とか。なんとなく自宅まで押し入ってくるような記憶もあったが、たぶん「傷ついたのは誰の心」と混じっているな。

■★大江健三郎「運搬」現代文学棚……即物的な肉、のように自分たちが思えてくる。この徒労感。さすが大江。

4.大人

■★フラナリー・オコナー、品川亮訳「田舎の善人」アメリカ南部文学棚……自分のナイーブな部分をごそっと持っていかれたらさぞかし辛かろう。これは厭な感じぷんぷん匂う。

■深沢七郎「絢爛の椅子」昭和文学棚……文体の稚拙さが、少年の知性を表しているようだ。そしてまた淡々と行う殺人への無感動も、文から立ち上がってくる。偽犯人のくだりは確かドストにもあったな。

5.中年期

■★フョードル・ドストエフスキー、秋草俊一郎訳「不思議な客」ロシア文学棚……ドスト特有の苛々。ここにはやっぱりロシア人がいる、という感覚。

■白土三平「野犬」劇画棚……非常とはこのこと。

6.老年期

■夏目漱石「首懸の松」明治文学棚……本来はユーモラスな一節だが、確かにここだけ切り取ってみると「ああ、これで心おきなく首が縊れる」と思わせる松の枝の、凄まじい惹きつけ力よ。

■アレクサンドル・ソルジェニーツィン、秋草俊一郎訳「たき火とアリ」ソビエト文学棚……まあ、国家と人民のこと。

・.喫茶室TRAUMA 番外編
■頭木弘樹「誰も招待をつきとめられなかった幻のトラウマドラマ」……というドラマを知りませんか、というネットの書き込みっぽい。

■一作品ごとの丁寧な作品解説。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学 /日本海外 アンソロジー
感想投稿日 : 2019年4月8日
読了日 : 2019年4月8日
本棚登録日 : 2019年2月17日

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