倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)

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本棚登録 : 638
レビュー : 129
著者 :
knkt09222さん 別格3(春樹 龍 皆川博子 赤江瀑 らも 津原)   読み終わった 

・皆川博子は多種の作風を駆使する職人だが、
今作は彼女の少女小説の代表になりそう。

・少女小説にあふれる優雅な悪意や毒が、皆川作品の中核でもあったのだ。
うっとりしちゃうよ。

・昔日の少女小説の少女たちはおおむね知的。
文学も音楽も絵画もたしなんでいる。
果たしていまの少女たちは……?

・戦争中のミッションスクールというだけで、このどきどきはなんだろう。
ゴシックハートがうずく。

・きらびやかな舞台背景(というより、語り手の視野)にだまされがちだが、
作中人物たちは作者と同年代。
戦争へのシニカルな思いなどは、作者のそれといえるのでは。

・ヤングアダルトのための本なのだが、大人が読んでも十分に面白い(そして難しい部分もある)。
構成の複雑さ、トリックの複雑さ。

・名前がまことに美しい。
そしてその美しい名前がトリックのひとつにもなっているのだから。
阿部欣子(あべ きんこ)→異分子のイブ。ベー様。ヌーボー。逞しい。素朴。
三輪小枝(みわ さえだ)→小柄。かわゆい。
佐野季子(さの すえこ)→冒頭で死亡するが舞台の雰囲気を伝える。
設楽久仁子(しだら くにこ)→上月への恋。嫌われ役。ジダラック。
上月葎子(こうづき りつこ)→お姉さま。毒舌。
七尾杏子(ななを きょうこ)→お姉さま。絵画熱。
雫石郁(しずくいし かをる)→図書館司書。
ゲビタコ→当時頻出した教師。実はアカ。

・表紙のセンスのすばらしさ。佳嶋。

・桜庭一樹原作・タカハシマコ作画「青年のための読書クラブ」、
志村貴子「青い花」を彷彿。
ただしこちらは毒っけが強い。

レビュー投稿日
2016年7月14日
読了日
2012年10月13日
本棚登録日
2012年10月13日
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