ティム・バートン監督「アリス・イン・ワンダーランド」が人気の昨今だが……。
とりあえずこの世界では机の引き出しの取っ手は役に立たない。
「アリス」ははっきりいえば子供向けの本。
どんな物語からでも論理や理屈や教訓や象徴を読み取ってしまう大人よりも、
登場人物そのもの、現象そのもの、動きそのもの、を無意味に即物的に楽しめる子供でなければ、
あのノンセンスなお話は味わえないのだろう。
その意味で「アリス」は本当の意味での「童話」に組み入れられるものである。
(※倉橋由美子「大人のための残酷童話」島田雅彦の解説)
シュヴァンクマイエルの「アリス」は、大人でも楽しめる童話の映像、という奇怪なしろもの。
もちろん子供でも楽しめるだろう、というより忘れられなくなるだろう。
細部のこだわりがすばらしい。
・アリスの服が小汚い。
・BGMを排してSEを際立たせる。ドアの音、時計の表面を撫でる音、漫画チックな音。
・小汚いが可愛らしい家具たち。
・アンティークドールの不気味な顔。
・そしてトランプ兵の現実性!
こんなにおもしろい映画を今まで見ていなかったなんて!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
不思議の国のアリス関係
- 感想投稿日 : 2016年7月13日
- 読了日 : 2016年7月13日
- 本棚登録日 : 2016年7月13日
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