ウエストウイング

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2012年11月7日発売)
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本棚登録 : 653
感想 : 107
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やはり面白かった 津村記久子さんらしい、小説でしかありえない小説。長いけど、ダレない。あるいはずっとダレている。ある種、不景気ブンガクなんだけど、いつも通りどこかには強者への怒りが根にあって、それに共振できるかどうかが、楽しめるかどうかの全てなんだと思う。これだけの分量のものでも変わらない魅力で書けたことが大きいと思う。なんだかんだ短所も指摘できるだろうけど、編集者やプロデューサーがマーケットを意識して後ろで導いたり操作したりした感じが完膚なきまでにしない。そんな作家性溢れる(それしかない)小説が読めるのは、僕は好き。かつ、実は超・希少。かつ、それでいて、なんとなくこの作家は謙虚だなあ、と思う。ここのところ、実は感じていることの説明が難しい。まあ、そこは省いて(笑)、だから、関西弁が押し付けがましくなく心地良い。テーマでもキャラクターでも物語でもない、文章と言うか、書き手の感じ方といか、が、魅力の全てである小説。だと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本:お楽しみ
感想投稿日 : 2013年1月15日
読了日 : 2013年1月15日
本棚登録日 : 2013年1月15日

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コメント 1件

akikobbさんのコメント
2013/01/16

ははあ、なるほどねえ!

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