街道をゆく 新装版 (17) (朝日文庫)

  • 朝日新聞出版 (2008年12月5日発売)
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感想 : 14
5

▼つまりは司馬遼太郎さん版の「島原の乱」。面白かったです。

▼1980年だそうで、書かれたのはもう40年以上前。なんですがさらに昔のことに思いを馳せる旅であり本なので、古びないですね。

▼島原、は長崎県の南部。天草の諸島、は熊本県の西部。島原の乱は両地域で発生したもの。なぜ起こったのかというと、切支丹の暴発というより、「江戸幕府経済体制が安定してくるなかで、貨幣経済の成長と、支配者層が米本位経済で動いている歪みが、厳しすぎる税制を長く続けた地域で噴出した」ということですね。

▼背景には、徳川体制になって、鎖国へと向かう影響が感じられます。要は宗教がどうこうというよりも、当時のスペイン・ポルトガルに代表される中世的で凶暴な簒奪植民地支配の危険性を感じていたから、ということですね。

▼それにしても、2025年現在の世界も無関係ではありませんが、ひとたび「正義」をめぐる暴力闘争になったときに、どれだけ権力側が残忍になれるのかというのが、通底音のように広がります。ため息にあふれるような一冊でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 電子書籍
感想投稿日 : 2025年3月9日
読了日 : 2025年2月26日
本棚登録日 : 2025年2月26日

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