▼「小説家志望の若い女性がSNSなどに書いた自分史的文章」が、著名人に激賞され、イッキにブレイクして本になった、ということだそうです。
▼従って、この本は自分史晒しエッセイです。多少ゆるいところもありましたが、それなりにオモシロく読み切りました、基本恐らく若い女性向けでしょうから、当方が大感動しないのはむべなるかなですが。
▼主人公というかつまりは作者の伊藤さんは、(創作をしていない限りは)恐らく関東圏のご出身で、お父様がアフリカ系の方で、イスラム教徒で、肌の色で言うと黒人さんである。お母様は日本人である。つまりはご両親が国際結婚で、いわゆる「ハーフ」。そして伊藤さん自身が見た目は「黒人さん」。なんだけれど、日本生まれ日本育ち日本国籍、日本語しかしゃべれない。
ありていにいうと、上記の特殊性と、そのお父様との葛藤がいちばんの「売り」なんですね。
▼そして、当然ながらかなり赤裸々に晒していらっしゃる(そうぢゃないと話題にならないでしょうね)。お父様はかなりの激情家のようで、かつイスラムの戒律に忠実なようで、愛が深い一方で、カッとなると暴力をふるう人だった。そして伊藤さんが思春期頃?に離婚した。伊藤さんは母親と暮らすことになった。以降はお父様は、どうやら近所で暮らしているようだけど、絶縁状態のよう。
▼伊藤さんは見た目が黒人さんですから、日本人の子供の社会ではいろいろ辛い思いもされたよう。それから、お父様もお母様も、「お金持ち」でもなかったようで。そして伊藤さんは大学生くらいの頃には「作家になりたい」と思う。そして恐らく外見もその頃にはエキゾチックな魅力?もあったようで、ご本人曰く「ほんのちょこっとだけモデルの仕事」もされたそう。大学を卒業するが、会社員になるのではなく、作家になりたくて、水商売など仕事転々しながら過ごす。そしてSNS(”note”というのかしらん)で自分晒しエッセイを書く。それがあるとき、お父様との赤裸々なあれやこれやを書いたものが、著名人に激賞され、イッキにネットで大ブームになる。出版社からホンにしないかと声がかかる。
▼ということだったようで、正直、本全体の半分くらいは「自分史エッセイの本を出せる!そのためにもうちょっとネタが要る!」という需要がありけりで書かれたもので、女友達との珍道中なプチ旅行記とか。そのあたりは、正直言って面白くはありません。
まあ・・・、若い人が「ワタシって、私たちって、ほらこんなにちょっとユニークなんですよ自慢」の延長に過ぎないような。
▼ただ、それらも含めて読ませる文章力は、これは上質なんだろうなあとは思いました。
- 感想投稿日 : 2025年2月15日
- 読了日 : 2025年1月8日
- 本棚登録日 : 2025年1月8日
みんなの感想をみる