わたしの茶の間

  • 講談社 (2011年2月1日発売)
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本棚登録 : 63
感想 : 12
3

沢村貞子さんは1908生-1996没の女優さんですね。
お父様が役者だったらしく、弟が加東大介さん、甥が津川雅彦さん&長門裕之さんという血筋。
詳しくは知りませんが、ご結婚されたけどお子さんはいらっしゃらなかったらしい。
俳優としては美人女優さんではまったくなくて、脇役人生。
後半生はテレビドラマの母親役が多かったようですね。

で、浅草下町育ちで風俗の記憶に詳しいらしく、
特に70歳くらいの頃に書かれた「私の浅草」が有名みたいですね。

という訳で、「私の浅草」を読んでみたかったんだけど、電子書籍でなくて。
代わりに「わたしの茶の間」というエッセイ集があったので購入。スマホで読みました。
並行して色んな本を読みながら、電車待ちとか、チョコチョコした合間に。
短い短いエッセイばかりなんでね。片手で読めるし、小説などだったら、3分5分読んでもしょうがないなあ、と思うところを、コレなら2分でも一つ、読める。便利この上ない。

内容は、衣食住や考え方などについての、チョットしたこととか、沢村貞子さんがモノ思ったこと。
基調は<浅草下町飾らない人情ざっかけない暮らし、豊かじゃないけど心が豊かだったね良かったネ>、という懐古な精神、<翻って今日は豊かで便利だけどどうなんだろうねエ>という低い目線の現代批評。
初版は1983年らしいですね。雑誌や色んなところに書いたものを纏めた本だそう。

特に目新しくはないんですけど、戦前東京下町暮らしみたいな風情が良く分かりますね。ひねくれて言うとかなり美化されてますけど(笑)。
エッセイとして厳密に考えれば玉石混交ですけど、面白いものもありました。

一つ挙げると、銀座にとある和菓子(だったか)が欲しくてお店に。顔なじみの店員さんが挨拶してくれる。
繁盛しているので、目当ての菓子は売り切れだった。なんだか諦めきれずに。残念だなあと言っていると、店員だか女将さんが奥からそっと持ってきて。
「沢村さんですから特別に」と、そのお菓子をくれました。
めでたくゲットで帰宅したのだが、道道、「有名人だから売り切れでもきっと、奥から出してくれるに違いない」と内心期待していた自分に気づく。
ものすごーく自分で自分がキライになってしまって、気まずくて。以降その店に行けてません・・・。

という内容の短文とかありまして。すごく正直で潔い。面白いエッセイでした。

いつか機会があったら、「私の浅草」は読んでみたいかな、と。

しかし、こういうエッセイを一つ電子書籍に入れておくと、活字中毒者としてはなかなかヨロシイと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 電子書籍
感想投稿日 : 2013年6月11日
読了日 : 2013年6月11日
本棚登録日 : 2013年6月11日

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