▼元々100分de名著だったもののようです。スピノザ入門。スピノザさんは17世紀のオランダの哲学者。ユダヤ人ながらユダヤ教から破門されているそうで、それは彼の考える思想のせいだそう。「エチカ」が有名ですね。
▼正直に言うと、「神」の有無を巡る議論はよくわかりませんでした。(こちらがに関心が無いせいかもしれません)
▼おもしろかったのは、「個人の自由と幸せと社会」みたいな事柄ですね。
つまりは各位各個人の尊厳が他人様との交流の中で安全に保たれているのが、それが幸福な自由の条件だ、みたいな話。
一見、すごく、「自由」という言葉と反している気がしますが、これはこれで納得ができる。つまりぢゃあ、完全に他者と関わりがない状態が、「幸福な自由」と言えるかということになります。
ほどよい関わりで充足している中で、自発的に?能動的に?動けることが「自由(幸福)」なんでしょうね。
▼そういうなんか、「ほどほど」みたいなバランスが大事、みたいなのはすごく腑に落ちましたね。あと、人間の「体」や「精神」がどこまでのことをなしえるのか、ということを、我々はわからなくて生きて死んでいく、みたいなのも面白かったです。
▼あと、へ~、と思ったのは、ヨーロッパなどの地域で17世紀、つまり1600年代、というのが、その後につながる科学が勃興したんだそう。それを支えたのが哲学である。中世が終わらんとする胎動ですかね。1500年代がルターであり活版印刷だったりすると思うので、そこから革命とナポレオンの18世紀へと「繋ぐ」時代だったのでしょう。中世的な、平たくいえば「迷信」みたいなものが、きっと欧州では密接に「キリスト教」と関わっていたはずで、そこから脱出するというか離陸するために、「自分とはなんなのか」「神とはなんなのか」みたいなことからはじめないといけなかったんだろうな、と。そういう流れに「我思う故に我あり」のデカルトがいたり、スピノザがいたりした。その中で、結局、「自分以外の他人様や社会とどう関わっていくのか」「その中で幸せとか自由ってどう感じるのか」みたいな、資本主義社会になっても不変な項目だけが、21世紀の日本でも「活きた言葉」として読まれているんですね。
- 感想投稿日 : 2024年12月30日
- 読了日 : 2024年12月30日
- 本棚登録日 : 2024年12月30日
みんなの感想をみる