音のない理髪店

  • 講談社 (2024年10月23日発売)
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感想 : 61
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▼主人公は若い女性で、小説家で、デビューした後、なかなか売れるものが書けず。というかそもそも書けなくなっているような。でも小説家ではあり続けたい。苦闘中。

▼自分の祖父が(うーん 曾祖父だったかな?)が、ろうあ者だった。そして戦前に四国で理髪店をやっていた。戦中戦後に苦労して家族と過ごして、子供を育てた。
それを知って、「その話を小説にしよう」と思う。

▼そして主人公は親とか親戚とか色んな人に話を聞いて回る。

▼A
戦前戦中の、ろうあ者の若者が、苦労して理髪店を営み、結婚して生きていく苦闘の歴史が綴られる。これはそれなりにオモシロかったです。

▼B
パラレルで、「それらを取材する若い女性作家」が描かれる。いろいろ発見して驚いたり、そもそも戦中戦後の近現代史的なことを知悉しているわけでもないので。そしてそれらを通して「自分探し」が進んでいく。ろうあ者の世界を知っていく。
 こっちのくだりは、正直に言うと面白くなかったです。描くほどのものでもないのではないか・・・という感想。そのあたりの自意識の強い人の自分語りSNSとそんなに変わらないのでは・・・。

▼Aのほうは、戦前のろうあ者の暮らし方、というだけで知らぬ世界だし、当然ながら大変な苦労や差別の中で人生を切り開いていく物語は、興味深かったです。ろうあ者ができる仕事、として理髪業が教えられていたんだ、ということから、「へえええ」が満載でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本:お楽しみ
感想投稿日 : 2025年2月15日
読了日 : 2025年1月8日
本棚登録日 : 2025年1月8日

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