リトル・シスター (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (2012年8月8日発売)
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感想 : 58
4

▼マーロウもののなかでも、「とにかく美女にもてまくる」要素満載ですね。ただ、チャンドラーさんが素敵なのは、ただたんにモテるというよりは、

・好感を持たれるけれど。

・基本、利用されまくり、騙されまくり、場合によっては殺されかかる。

・なんだけど、マーロウさんはぶつぶつ言いながらも大まか受け入れていく。

・それでもって、男女のカラダのコトには実はまったくもって及びません。キスがせいぜい。というか、<会話とキス>にこそロマンがある(笑)。



▼原りょうさんを再読したいなと思ったことから、
<マーロウ全部順番に再読して、原りょうさんも順番に再読しようプロジェクト>
が、発動。道半ばです。愉しい。
オモシロかった。相変わらず。


▼あらすじ、と言うことで言うと、翻訳の村上春樹さんも言っているとおり、かなり複雑で分かりにくい。その上、よーく読んでいくと、何か所か破綻している(笑)。
なので、「どういう物語だったのか」ということの、特にミステリの謎解き説得性みたいなものは、チャンドラーの長編はほぼどうでもいいんですが(笑)。

志ん生の落語みたいなもので、多少間違おうがどうだろうが、「節回し」とか「声」とか「言い方」が愉しい。


でも一応備忘しておくと。




・田舎町から田舎臭い垢ぬけない美女が「兄がこの町で行方不明。探してくれ」と依頼。

・探しているうちに次々に死体に遭遇。どうやら組織暴力と薬物からみの事件っぽい。

・そこにハリウッドの芸能界、美人女優も絡んでくる。

~~~以下、キモのネタバレ~~~






●確か、依頼人の女性の<姉>が実は美人女優。隠しているけれど。

●依頼の<兄>は芸能界=暴力団的深みに落剝して、殺されていた。

●そもそも依頼人の<妹=リトル・シスター>も、けっこう悪者で、金のためだったし、なんならほぼ兄を見殺しというか殺しの片棒に近い感じだった。

●マーロウは複雑な真相を最後に暴いて、確か、女優のプライバシーを守り抜いた気がする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本:再読
感想投稿日 : 2025年2月16日
読了日 : 2025年2月3日
本棚登録日 : 2025年2月3日

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