怪盗紳士ルパン (ハヤカワ文庫 HM)

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レビュー : 42
制作 : 平岡 敦 
koba-book2011さん 電子書籍   読み終わった 

「怪盗紳士ルパン」ハヤカワ文庫 2005年 モーリス・ルブラン(原著は1905-07に発表)、平岡敦翻訳。

新訳だなあ、と思ってこのシリーズを楽しみに読んでいるのですが、今年は2018年ですからもう13年前の本になるんですね…。

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怪盗アルセーヌ・ルパン・シリーズの、第1作。
ルパンシリーズは1905年に発表されています。ホームズが1887年発表。ホームズの18年後で、ちなみにその頃はもうシャーロック・ホームズは世界中で大ヒットしていました。
(1905年はホームズ史で言うと、傑作長編「パスカヴィル家の犬」(1901)の後で、短編集「シャーロック・ホームズの帰還」が上梓されています)

うだつのあがらない作家だったルブランさんが、「ホームズみたいな小説を、怪盗を主人公にして、フランス版で」と意識して書いたのは有名な話です。



この本は、以下の短編が集められています。


①アルセーヌ・ルパンの逮捕(L'Arrestation D'Arsene Lupin)
②獄中のアルセーヌ・ルパン(Arsene Lupin en Prison)
③アルセーヌ・ルパンの脱獄(L'Evasion D'Arsene Lupin)
④謎の旅行者(Le Mysterieux Voyageur)
⑤王妃の首飾り(Le Collier de la Reine)
⑥ハートの7(Comment J'Ai Connu Aresene Lupin:Le Sept de Coeur)
⑦アンベール夫人の金庫(Le Coffre-fort de Madame Imbert)
⑧黒真珠(La Perle Noire)
⑨遅かりしシャーロック・ホームズ(Herlock Sholmes Arrive Trop Tard)

そして、実は印象の薄くなっている短編も多いです。正直。(もう読了して数カ月経ってしまったからなんですが)
「王妃の首飾り」は短編5編目にして既に、「怪盗ルパンの少年期」を描いていて、
今で言うと「ビギンズ」ものだったりします。
エンターテイメントの法則っていうのは、時代を超えて変わらないものですね。

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それから、①~③がひとつつなぎの話になっていて、それがルパン・シリーズの幕開けなんですが、
不思議なことに、「ほぼ捕まることのない、大怪盗」のお話なのに、
「ほぼ捕まることのないという噂の大怪盗が捕まる」というエピソードから始まる…その違和感が、面白いんです。

そして、捕まる理由っていうのは、女性なんですね。つまりまあ、惚れてしまった女、というのがくびきになって捕まる。
その心情ドラマからいきなり始まるのが面白い。
そして、そのまま脱獄するところまで進みます。

つまりまあ、初手から「恋愛しない、ほぼ変態な孤独好き男のホームズ」と違って「女の方が仕事より大事な人間臭い情熱あふれるオトコ」というキャラクターなんですね。
ここンところをハッキリしているのは、作者の意図か編集者か判りませんが、拍手です。

お陰様で21世紀の日本でまで、「孫」の大活躍を楽しめるわけですから。

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(ルパン・シリーズを、この新訳で楽しもうと思っていて、何十年も前に、壮絶に手に汗握って読んだ「813」「続813」が出るのを首を長くしてまっています。
以前に読んだのは偕成社の全集版だったんですが、今だに、「全2巻以上の小説で、1巻を読み終えたときに続きが読みたくて身悶えしたランキング」では、自分史上、不動の第1位です)

(ところがこの新訳で既に出ている「水晶の栓」が、負けず劣らずシリーズ屈指の傑作だ、という噂を最近聞きました。実は「水晶」は未読なので、まずそっちから楽しむか…」)

レビュー投稿日
2018年1月28日
読了日
2017年11月24日
本棚登録日
2017年11月24日
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