▼収録作品は以下。
霧の朝
妙義の団右衛門
おかね新五郎
逃げた妻
雪の果て
引き込み女
▼「霧の朝」
平蔵馴染みの御用聞き(桶屋職人)夫婦がおり、男の子がいる。
実はこの男の子は、生まれてすぐにとある瓦焼き職人の夫婦が手放したもの。
桶屋夫婦は我が子として大事に育てている。
瓦焼き夫婦は、夫が酒に溺ればくちに溺れ身を持ち崩し、女房が泣く泣く赤ん坊を手放した。
ここまでが前段で、6歳くらいか?に育った男の子が、誘拐される。
これはお上の用事をしている桶屋への恨み。
このことを、ひょんなことから元瓦焼き夫婦、つまり実の親も知ることになる。
そんな前後の描写で、引用すると以下があります。
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おろくが泣き崩れた。
隣家の女房が裏口から、
「おろくさん、どうしたんだよ」
叫びながら、駆け込んで来た。
仙台堀沿いの道に、赤蜻蛉が群れ飛んでいた。
血相を変えた富蔵が、親分の政七の家に走り向かっている。
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<仙台掘沿いの道に、赤蜻蛉が群れ飛んでいた>
この一文の置き方に、「うわっ」と胸打たれました。
なんかこう、4回転半ジャンプから静かに着氷した感じというか・・・・。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
電子書籍
- 感想投稿日 : 2025年4月8日
- 読了日 : 2025年3月23日
- 本棚登録日 : 2025年3月23日
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