▼何かの本で、おススメになっているのを覚えていて、読んでみました。「東大生」に付加価値を付けたタイトルは今一つ品が無いなあとは思いますが、好きな本でした。
▼ずっといわゆる文系・文科系の割り切りで過ごしてきてしまったので、大人になってから、「経済の仕組み」に興味が出てきても、何を読んでいいか分からず。たまにそれらしい本を手に取っても、正直全然腑に落ちない経験ばかりでした。この一冊は、タイトルほど「面白いほどわかった!」でも無く、それなりに難しかったですが(笑)、それでもだいぶ、腹に落ちました。スバラシイ。
▼好感を持ったのは。結局、経済の仕組みをなんのために理解するか。あるいは経済の複雑な仕組みはなんのためにあり、また何のためにあるべきか。そういう、言ってみれば哲学的なというか、モラルや理想論の領域に後半は入りますが、それが良かったです。
▼結局、たれでも濡れ手に粟で不労所得(に近いもの)があれば嬉しい。一握りの「楽に稼げる階層」に近づきたい。そういう気持ちは本能かと思いますが、そういうことばかり全員がやっていたら、ひとりひとりが、幸せに生きるために必要な衣食住のなどのインフラやサービスを「生産」する人が減っていく。そうすると、結局最後は、「楽に稼げる階層」の人たちの中でも一部の人は「安全とか安心とか満足感とか」そういうものを削ぎ落されて行ってしまう。結局は、「楽に設ける近道無し」という気持ちで働いた分の収入で「幸せだと感じる暮らし」を営めることがいちばんなんだなあ。そういう、ぐるりと回ってありきたりな場所に戻ってくる。戻ってくるのだけど、以前よりも確信が持てる。そういう意味で素敵な読書でした。
- 感想投稿日 : 2025年3月9日
- 読了日 : 2025年2月24日
- 本棚登録日 : 2025年2月24日
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