コストの安い海外ETFでの資産運用を進める本著は類書に見ない切り口で斬新。必ずしもすべてを受け入れる必要はないと思うが、20年後のGDP比率に合わせた投資に目を向けさせたり、大局観を養うには着眼点を多数提供している。
銀行預金や年金を通して、国債や国内株式に投資がされているので、個人で行う投資は基本的に海外投資のみでいいとの指摘は大胆。(ただし、既に国内株式100%のような運用をしている人には日本株比率を多くても15-20%まで下げていくべきとのコメントも)
リーマン後、各資産の相関係数が高まり、リスク分散効果が低くなる中で他の資産との相関が少ない金の重要性を指摘し、10%程度持つように推奨。(新興国といっても、韓国、台湾を含めると先進国との関係性が高いので相関係数は高まる。インドネシアなどのASEAN諸国をサテライト資産として加えると相関係数を下がる)
特に秀逸だと感じたのが、中長期でアセットアロケーションを考える場合も投資に時間とパワーをさける積極派には投資環境を見極めて,局面ごとにアセットアロケーション比率を下記提示しているところ。
①不況~景気回復
株30%(先進国株20%,新興国株10%)
債券60%(先進国債券30%,新興国債券10%,ハイイールド10%,インフレ連動10%)
金10%
②景気回復~好景気
株60%(先進国30%,新興国20%,小型10%)
債券30%(先進国20%,新興国10%)
金10%
③好景気~景気後退
株50%(先進国25%,新興国15%,小型10%)
債券40%(先進国30%,新興国10%)
金10%
④景気後退~不況
株20%(先進国15%,新興国5%)
債券70%(先進国55%,新興国15%)
金10%
ほとんどの投資本では一旦決めた比率をリバランスでいかに維持するかに焦点をあてていますが、景気動向をふまえたアセットアロケーションの変更をスパイスとして使うことは投資家としてのスキル養成のためにも重要ではないでしょうか。
あと、まとまった資金がなく、ETF投資に手が届かない若い世代向けには
株60%(先進国30%,新興国30%)
債券30%(先進国15%,新興国15%)
金10%
の比率でインデックスファンドで資産形成してくことも推奨。
- 感想投稿日 : 2013年10月14日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2013年9月29日
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