脳内革命 (2)

著者 :
  • サンマーク出版 (1996年10月5日発売)
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感想 : 17
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瞑想の重要性を20年前以上に指摘して、その当時、各方面から叩かれた著者ですが、
今現在だからこそ、その先見性に驚かされます。今、日本のビジネスパーソンの中で、
瞑想の一つの形式であるマインドフルネスは市民権を得ています。しかし、当時は、キワモノで、瞑想=ヤバい奴がする怪しい行為 という認識が当たり前でした。

瞑想すると健康になるというと、それ、宗教だろうというのが日本ですが、
実際、海外では瞑想の医学的治療方法が確立しつつあります。また、
WHOによる健康の定義の中で、スピリチュアル的健康というものがありますが、
その実践は、これは、誤解を生むかもしれませんが、瞑想をして、健康維持に役立てようという解釈も可能です。

運動して健康になる、食生活を整えて健康になる、実際、それを実践して、なおかつ、
健康を手にしている人は非常に少ないのが現状です。日本の成人の肥満率は一貫して増加傾向にありますし、うつ病などの精神疾患も20年前と比較して明らかに増加しています。

また日本経済一つとっても、20年前と変わらない規模を維持しつつ、家計所得は20年前の25%減と、豊かな国日本の面影は、もはやありません。子供の貧困もOECDでは最悪レベルです。この先40年で労働生産人口が3000万人減少することを考慮しても、日本の未来は、経済的に言えば、おそらく真っ暗だと考えます。

その状態の中で、健康でいることは、非常に難しい。
最近は「健康格差」という言葉も出現して、地域や所得、所属先で、寿命が異なるという統計結果も出ています。

こういった背景で、改めて、日本人・個人の健康を、これからどう達成していけばいいかという重要な命題が発生しています。国も社会も会社も、もはや「頼りになる存在」ではないからです。その前提に立てば、瞑想による「自己肯定感の獲得」や瞑想による「癒しの状態」は、今後、健康を維持する上で、必要不可欠なモノとして認知されるはずです。

運動や食事の重要性は、ことさら強調されますが、精神やスピリチュアルなことは、
一種タブー化しています。それは、ある面では仕方ないことですが、個人が責任を持って、実行する上で、なくてはならないものになりつつあります。

戦後、経済的成功を収めた日本ですが、今後は、経済的に成功を収めることは、不可能に近いでしょう。成功の意味も経済的諸条件から、変わっていくはずです。今後成功とは、、自分を縛り、制限してる国、社会、会社、両親、兄弟、友人そして自分から、解放している状態や、不可能性への積極的関与の状態かもしれません。

この著作が出た当時は、キワモノでした。しかし、今は、優れたノウハウを提供する本になっています。一読の価値はあると考えます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年8月8日
読了日 : 2018年8月8日
本棚登録日 : 2018年8月2日

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