「タルト・タタンの夢」の続編です。
レストラン「パ・マル」を舞台にした日常系ミステリ短編集。
前作は少し重い感じがしたけれど、今作は少し軽めに感じました。
さりとて軽いだけでなく、人生のほろ苦さもちりばめられていて。
ヴァン・ショーを飲んだあとのように、少し渋いながらも、心(のどこか)はほっこり温まるような、そんな感じの読後感でした。
おいしそうな料理の描写は相変わらずで、おなかがきゅぅと鳴ります。
近所にこんな素敵なレストランがないのは、ある意味幸いか。もしあったら、常連さんになりそうな勢いです。(お財布がもちません!)
舞台も、今作はレストランから少し広がった感もあり。語り部が給仕係の高築くんだけでなくなったところが、新鮮味なのかも。(シェフの若かりし頃の話なんて、確かに高築くんが知る由もないですよね)
特に印象に残ったのは
「錆びないスキレット」
「ブーランジュリーのメロンパン」
「氷姫」
「ヴァン・ショーをあなたに」かな。
寡黙で口調もぞんざいな三舟シェフが、猫をうっかり餌付けしちゃったりして(それを志村さんに怒られてしゅんとしてる姿が)かわいらしい一面も。
終わり2編は、三舟シェフのフランス時代が舞台。
寡黙ゆえ謎に満ちたシェフの人となりが作者の手によって徐々に明らかになってきました。
これからも続きが出るなら読みたいです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年8月27日
- 読了日 : 2014年8月26日
- 本棚登録日 : 2014年8月26日
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