現代ミステリーの人気投票では必ず上位に来る作品。私も『十角館の殺人』からのAmazonさん紹介で購入。
発刊当時、隆盛を極めていた社会派サスペンスに一石を投じる形でトリック重視のミステリーという新たな潮流を作った。こうした超名作ミステリーの宿命として漫画『金田一少年の事件簿』で「アゾート殺人事件」のトリックがオマージュ(まんま?)されていたので衝撃は少なく、むしろ世間の評判で期待値が上がってしまっていたため「これがトリック?」とやや物足りなさを感じてしまった。(本作品のせいではない)
本書は御手洗の(一瞬だけの)鋭い切れ味もさることながら、石岡の素っ頓狂な行動描写に多数を割いているところも面白い(御手洗が「それは関係ない」と言い放つ件は石岡と我々読者の努力を一蹴する小気味よさがある)。またプロローグとエピローグの構成が良く、最後はミステリー特有の哀愁で締めくくられる。
トリックが有名になり過ぎた弊害は否めないが、ミステリー作品として非常に面白かった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2017年11月21日
- 読了日 : 2017年11月21日
- 本棚登録日 : 2017年11月13日
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