寒灯・腐泥の果実 (新潮文庫 に 23-6)

  • 新潮社 (2013年11月28日発売)
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感想 : 18
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読者にはお馴染みの「貫多と秋恵」の短編集といえよう。棘々しい題名と古典的で折目正しい文章、ユーモラスで軽快な展開は相変わらずだ。どの作品も、貫多の惚気→些細な不満→癇癪という王道の流れで締め括られる。著者は貫多を徹底的に偏屈者として卑下し、しかし作中では行為の正当性を主張することで、事象の滑稽さを際立たせ不思議と暗い雰囲気はない。純文学風の文体にカタカナ言葉がさらっと入り込んでくるあたり著者の実力を伺わせる。

とはいえ私小説家であることは理解しつつも毎度同じ「秋恵」話に些か食傷気味なのは否めないか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学
感想投稿日 : 2016年8月7日
読了日 : 2016年8月7日
本棚登録日 : 2016年8月6日

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