『ホモサピエンス全史』『ホモ・デウス』の超ベストセラーを有し、気鋭の歴史学者であり、現代最高峰の知性と謳われるユヴァル・ノア・ハラリ氏の最新作。”21”Centuryにかけて”21”のlessonsを説く。
ハラリ氏は歴史学者というより未来学者に類すると思うが、彼の視点は極めて鋭くリアリストだ。その指摘は狂乱や妄信や固定観念を排し、ときに残酷な響きを持ちときに『リア王』の道化のように振る舞う。AI時代に訪れる「無用者階級」大量発生は、必然でありながら多くの有識者が黙殺している視点だ。訪れる未来を推定しつつ現代の抱える矛盾や課題を冷静に分析し捉えないと本当に有意義な解決策は出てこない。
「謙虚さ」の章以降は、テーマが価値観や概念を扱い且つ”辛辣”を多方面に配慮した結果(ユダヤ教やキリスト教やイスラム教やヒンドゥー教を等しく捉えよ!)、冗長的で論点が不明瞭になっている点がやや残念。誰にも何にも遠慮せずハラリ節を読みたかったところだ。
本書は現代社会の問題を正しく捉えて再定義し、常識を疑いアップデートし、物語の呪縛から我々を解き放つインサイトを与えてくれる本だ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
学術/思想
- 感想投稿日 : 2020年2月6日
- 読了日 : 2020年2月6日
- 本棚登録日 : 2020年1月22日
みんなの感想をみる