2005年11月から2007年11月まで「小説現代」に掲載された7話の単行本化。
幕末の1万石の小島藩(静岡県小島町)とその後の徳川家の移封を舞台として、半世紀に亘ってそこに生きた7組の人々の生き様や思いをオムニバス形式で描いている。
かつての同僚の不審死の真相を糾そうとする隠居間際の老武士、十年待ち続けた相手が突然現れて動揺する女、男前で女を騙し続けて来たが乗り込んだ家で居場所を見つけた男、言い交わした相手が隠密働きのために結婚できなかったという真相を知った人妻、父を捨てて出奔した母の相手を斬るために来たが紙漉きに勤しむ母から真相を語られる若者、憧れる鉄砲師範の噂話に動揺して師範を死に至らせた百姓の倅、維新で江戸を追われ静岡に入植する旗本の娘。
彼らは狭い小島藩領で、少しずつ繋がり、
時代を超えて、岩場の大きな渦という、人々が何事かを感じざるを得ないような自然の姿が、各話に登場し、物語を繋いでいく。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
時代小説
- 感想投稿日 : 2016年2月25日
- 読了日 : 2016年2月25日
- 本棚登録日 : 2016年2月25日
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