人間不平等起原論 (岩波文庫)

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レビュー : 30
狐舞さん 思考・思索・哲学   読み終わった 

 思っていた内容とは違うがなかなか興味深い。人間が不平等ではない状態にあったのはいつか?そして何により不平等となったかを思索する。ルソーがいうには未開人こそが自由で平等であるという。多分にロマンが含まれているが、たしかに平等である。そして賢く、豊かになるにつれて所有という概念、そしてそれを定める「法」がうまれたことによって不平等が発生したと展開する。少々強引であるが、ルソーの生きたヨーロッパは専制君主の時代であり、法を行使するものとそうでないものとに大きな差、つまり不平等が生じている事を念頭に置けば、この結論も意味を持つ。さて、ここで注意しなければならないのはルソーは法をなくそうとしているのではないことである。当然ながら無政府主義者でもない。ルソーが求めているのは人間が平等であった頃の自然の定め、つまり自然の裁定に従うことである。そこには人間の持つ本質的な道徳が存在し、そしてそれこそが不平等から抜け出せる鍵であるということを示唆している。短いが法の本来のあり方を問う鋭い問いかけである。

レビュー投稿日
2017年6月30日
読了日
2017年6月17日
本棚登録日
2017年6月30日
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