林芙美子随筆集 (岩波文庫)

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本棚登録 : 71
レビュー : 7
著者 :
制作 : 武藤康史 
日曜日さん エッセイ   読み終わった 

いろんな町を「ぽくぽく」歩く、芙美子さん。
「ぽくぽく」と音を立てて歩いたことのなかった私は
何か新鮮だった。
淋しさや孤独を感じながら、なんとなく歩いていく雰囲気。

「放浪記」が売れて、大金を手にした芙美子さんは
実家にかなりの額のお金を送る。

『「あッ!」と云う両親の声が東京まできこえて来たような気がした。』
とある。

この間岩波版「放浪記」を読み終えたばかりだったので
私にもその声が聞こえたような気がした。

途中に色々写真が入っていて、
芙美子さんのお母さんも写っているのがある。

この、優しそうな物静かそうな方があのお母さんかあ、と
感慨深し、であった。

幼い日木賃宿で一緒になった
浪花節語りの雲花さんが印象深い。

『美しいひとじゃなかったが、机を前にして、
浴衣がけで語っている処はなかなか色気があって、
子供心に大変好もしき姿だった。』

離れても、芙美子さんと雲花さんは文通していた。

その後あるとき、
芙美子さん一家が居を四国の高松に移したあと、
雲花さんが訪ねてくる。

居候をさせてあげたが、
雲花さんはじっとしてはおらず、
裁縫したり、台所仕事をしたり、
たまに浪花節語りでいくばくかのお金を集め、
芙美子さんに小遣い銭をくれたりする。

このように、
私には困った時に親類とかではない友達を頼りに訪ねて行って、
その友達側も、親身になる、
と言う関係性が物語の中では目にするけれど、
実際、本当にあるんだなあ、と実感し、憧れた。

芙美子さんの文章は、
ああ言った。こうした。そう思った。などなど
なんとなくたどたどしいというか、一瞬拙さを感じるのだけど、
実はそんなことはなく、
じーっと心静かに読み進むと、
非常に写実的な描写であり、
風景や感情がそのまま甦ってくる、
と言うことがわかる。

レビュー投稿日
2014年4月26日
読了日
2014年4月26日
本棚登録日
2014年4月14日
1
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