カフカ断片集:海辺の貝殻のようにうつろで、ひと足でふみつぶされそうだ (新潮文庫 カ 1-5)

  • 新潮社 (2024年5月29日発売)
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「骨の痛み」・・・
痛みを感じるのは全て自分に原因があるから。何も変えようとしないのは、結局すべての元凶が自分だから。生きている限り、この痛みから逃れることはできない。

「人生を呪い」・・・
この世に生まれてこないことこそが最大の幸福である。世の中は絶望ばかりだ。幸福に生きれる人などほんのひと握り。残すは泥水すすり地べたを這いつくばる亡者のみ。この世に生まれないことこそがいちばんの幸せなのだ。

「せめて」・・・
どんなに願っても幸せになれない、穏やかに暮らせない。それならばいっそのこと静かに眠らせてほしい。
諦観の情。あきらめ。

「告白と嘘」・・・
人の本質は言葉では捉えられない。だから身の丈を言い表そうとするときには必ず嘘が混じる。つまり真実ではないということだ。そしてそれは告白でもある。合唱の中に何らかの真実が見いだせるのは、嘘が寄り集まりそれが真実へと近づいていくからだ。

「別のことばかりが頭に浮かぶ」
ときどき反省をしなければ本来の自分を見失ってしまう。同じ道を歩いていたと思っていてもぼんやり歩いていれば曲がるところを直進してしまいかねない。そして自分を見失ったが最期、2度と戻ってくることはない。


「コメント」・・・
社会から外れた人間が社会に追いつこうと懸命に生きようとする。でも独力ではどうにもいかず助けを求めるが、周りは無駄だと言わんばかりに彼を拒絶する。

「すべて無駄だった」・・・
頑張ってみたものの、結局なにもかも上手くいくことはなかった。全てやり切ったという清々しさと新たなスタートの決意をする。あるいは、全てが嫌になって…。

「うまくいかないこと」・・・
放置することも大事。

「教育とは」・・・
教育というよりマインドコントロール。
骨抜きにされた子どもとは?
まっさらな画用紙には何色で絵を描こうか。青でも赤でもいいな。そうだ、黒で塗りつぶすのはどうだろう。

「心を剣で突き刺されたとき」・・・
慣れてしまったか、感情を失ったか。

「善の星空」・・・
夜空があるから星は輝く。悪があるから善は光る。

「天の沈黙」・・・
天に願っても何もしてくれない無情さ。憐れみさえ与えてくれない木石のような天。何をしても無駄だという絶望感。

「自殺者」・・・
自殺者は自死を望む囚人。自殺者に自由はない。希望もない。せめて自死の自由を…。

「釘の先端を壁が感じるように」・・・
彼はこめかみに銃口を感じる。自分で突きつけているのか誰かに突きつけられているのか。誰かに突きつけられているなら、それを感じるはず。だが彼はそれを感じなかった。つまり銃を向けられて当然だと思っている。すなわち自分で自分に銃を向けている。

「秋の道」・・・
何が秋の道なのだろうか。人生?心?

「準備不足」・・・
曖昧な時代の中で何を準備すべきなのか。

「志願囚人」・・・
囚人でい続けたかったのか。自分は囚人ではないと気づくことができなかったのか。どっちだろう。

「死後の評価」・・・
人の評価は死んだ後に決まる。
【人は、死んだあとにはじめて、ひとりきりになったときにはじめて、その人らしく開花する】
【死とは、死者にとって、煙突掃除人の土曜の夜のようなもので、身体から煤を洗い落とすのだ】

*あとがき
【そんなふうに、意味のわからない言葉でも、読んでおくと、あとで何かあったときに思い出せる。そして、思い出せる言葉があると、自分に何が起きたのか、より理解できるし、こういう現実にぶつかったのは自分だけではないと、孤独にならずにすむ。そして、言葉にできないもやもやした思いを、言葉にしてもらえるのは、とても救われる場合がある】
言葉を持っていると、生きていく中で、パズルのピースとピースがカチッとハマったように、その言葉が現実に落とし込まれるときがある。そういう瞬間を大事にするために、ひとつひとつの言葉を大切に仕舞っておきたい。いつでも取り出せるように。


読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年6月9日
読了日 : 2024年6月7日
本棚登録日 : 2024年6月7日

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